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建て替えでCO2を削減する配送センターに

葛飾センターに設置された太陽光発電パネル

生活クラブ連合会は2022年の総会で、「30年に二酸化炭素(CO2)を45%削減(13年比)」などを目標に掲げる「第二次生活クラブ2030行動宣言」を決定した。現在の生活クラブグループのCO2削減は28.7%(22年度・暫定値)で、目標達成に向けては共同購入の配送を担う各地域の生活クラブの活動が欠かせない。そのような状況の中で生活クラブ東京は、配送拠点の一つである葛飾センター建て替えにあたりCO2を削減するさまざまな対策を実施した。

対策は冷凍庫や冷蔵庫も

「生活クラブ2030行動宣言」の達成に向けて、生活クラブ東京は独自の目標を策定した。たとえば気候変動対策については、「施設の新築や設備更新の際は、環境に配慮した資材の使用や機器を導入する」などを取り組み方針に掲げている。22年3月に完成した葛飾センターの建て替えにあたっては、独自目標は策定中だったものの、その考え方をもとに設計、建設がされた。

「センターの年間電力消費量の約22%を賄うことができる太陽光発電パネルを設置しました。発電した電力は、主にパソコンなどの電源や照明に使用しています」と、生活クラブ東京・総務課長の石井武志さんは説明する。

葛飾センターは2階建てで、2階には組合員などが利用する会議室と事務所がある。天井など随所に採光が施された室内は明るく、日中は照明自体をあまり必要としない省エネ設計が施されている。
太陽光発電以外の電力は、電源の8割以上が再生可能エネルギーである「生活クラブでんき」を使うことでCO2を削減している。

また休日などに発電した電力は、組合員に配達する冷凍や冷蔵の消費材を保管する大型の冷凍庫、冷蔵庫の電源に向けられる。
「冷凍庫や冷蔵庫ですが、冷媒には代替フロンが使われているのが一般的です。一方、葛飾センターはCO2冷媒の冷凍庫と冷蔵庫を導入しました。これによって温室効果ガスは、CO2に換算すると年間約58.4トン削減できると見込んでいます」と石井さん。

CO2削減を目標としているのに、CO2を使った冷凍庫や冷蔵庫の使用は矛盾しているように思われるかもしれない。一般の冷凍庫や冷蔵庫で多く使われている代替フロンは、特定フロンのようにオゾン層を破壊することはないものの、地球過熱化には大きな影響を与える。地球の気温上昇にどれだけ影響を与えるかを示す指標に「地球温暖化係数」があるが、CO2を1とすると代替フロンは数十倍から1万倍超と高い。それゆえCO2冷媒の機器を使った方が、代替フロン使用より地球の気温に与える影響は少ないのだ。経済産業省によると日本のCO2の排出は13年度に比べて減少しているが、代替フロンの排出は増えており、排出削減が喫緊の課題になっている。

EV車は走行距離が課題

生活クラブ東京・総務課長の石井武志さんとEV車

生活クラブ2030行動宣言の生活クラブ東京の独自目標では、配送センターの車両のEV(電気自動車)化も方針にしている。葛飾センターでも軽ワゴンタイプのEV車を導入し、加入の問い合わせ対応などに利用している。しかし、葛飾センター長の島村彰太さんは「車両の性能カタログでは1回の充電で100キロの走行が可能とあったのですが、実際はクーラーをつけると50キロ、暖房を入れると40キロくらいが限度でした。そのためエアコンを切って走ることもあります」と話す。

車両のEV化はCO2削減にとって重要だが、走行距離や充電設備の設置場所など、本格的な導入に向けて課題が残る。配送トラックのEV車にいたっては高額なうえに、自動車メーカーでの開発は途上の段階といえ、ほとんどの生協で導入が進んでいない。

生活クラブ連合会では、自動車や機械設備メーカーなどの情報や、各地の生活クラブのCO2削減に向けた活動を共有する連絡会を開催している。先進的な生活クラブ東京の取り組みも連絡会で報告され、各地の生活クラブの貴重な参考となっている。

葛飾センターの着工は20年で折しも新型コロナウイルスが流行し、半導体などの製造、流通が世界的に滞っていた。建て替えに必要な資材の入荷が遅れることもあったが、建設業者などの尽力により何とか予定どおり完成することができたという。

消費材利用でCO2削減

組合員が塗った漆喰(しっくい)には記念のサインが刻まれている

建て替えにあたっては組合員に要望を募った。寄せられた一つに「漆喰(しっくい)」があり、会議室の壁に組合員や職員が一緒になって漆喰を塗った。
「漆喰には湿度が高いと水分を吸い取り、低いと水分を放出する湿度調整の効果があるといわれています。人が快適と思う温度は湿度と密接な関係があるので、エアコン使用が減ることによる省エネ効果も期待しました」と石井さんは話す。

他に組合員からの要望では断熱効果の高い外壁を望む声があったという。またCO2削減対策ではないが、葛飾センター付近は海抜ゼロメートル地域のため災害時の備品を充実してほしいとの意見があった。そのため非常用コンセントを設けて、停電時でも太陽光発電の電気が使えるようにするとともに、蓄電池を設置した。「水資源を有効活用するため雨水利用をする」という生活クラブ東京の独自目標に基づき、雨水タンクも備えた。日常的には車両や倉庫などの掃除に雨水を利用している。

生活クラブ東京では24年2月の竣工をめざし、板橋センターが建て替え中だ。EV車やCO2を削減する設備を導入する予定で、太陽光発電施設は葛飾センターの1.5倍の規模になり、板橋センターの年間電力消費量の4分の1程度を賄うことが期待されている。完成すれば生活クラブ東京にとって、センターなどで自家消費する電力を発電する4カ所目の施設となる。ちなみに自家消費型ではないものの、太陽光発電パネルを設置した施設としては8カ所目だ。

石井さんは「センター建て替えの設計や監理をする事業者は生活クラブの提携生産者で、CO2削減や生活クラブ2030行動宣言などの活動をたいへん理解しています。それでも資材の値上がりのため、どうしても建て替え費用は高くなっています」と話す。
ただでさえCO2を削減する設備には、多くの費用がかかる。とくにCO2冷媒の冷凍庫と冷蔵庫は、一般と比べると数百万円の差がある。

センターの建て替えは、経営計画に基づいて実行する。しかし経営計画どおり組合員の人数や利用が伸びないとCO2削減対策をふくめ活動は厳しくなる。びんのリユースや牛乳キャップ、ピッキング袋のリサイクルとともに、消費材の利用がCO2削減には不可欠といえるだろう。
 
撮影/魚本勝之
文/本紙・橋本 学
★『生活と自治』2023年12月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2023年12月30日掲載】
 

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