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《アースメイド野菜篇①》除草剤を使わず、雑草と共存しながらレタスのおいしさを追求する

栃木県開拓農業組合 金丸原野菜生産部会
西野入将浩さん(41歳)
▼動画(5分7秒、音声・字幕つき)
栃木県北部の大田原市で夫婦二人、力を合わせてサステイナブル(持続可能)な農業にチャレンジしている西野入将浩(にしのいりまさひろ)さんに、化学合成農薬や化学肥料をできるだけ使わない野菜づくりにかける想いを伺います。

将浩さんがレタスを育てている大田原市湯津上(ゆづかみ)地区は、自然豊かな那須野が原の一角に位置する高原地帯。冷涼な気候で4月に入っても夜は氷点下になることも多いといいます。この場所で祖父の代からの野菜農家を継いだ将浩さんは、生活クラブの提携生産者である栃木県開拓農業協同組合(以下、栃木開拓農協)の金丸原野菜生産部会で「はればれ育ちレタス」を育てています。
「はればれ育ちレタス」を育てている西野入将浩さん(41歳)。

会社員を経て、こどもの頃から好きだった農業へ

将浩さんは、地元の高校を卒業し大学の農学部に進学。その後、大学院に進み修士課程を終えて宇都宮の企業に就職しました。しかし、父親の体調が優れないことなどをきっかけに2013年に退職し、妻の香織さんと共に生まれ故郷の湯津上地区に戻りました。そして祖父の代からの農業を継ぎ、化学合成農薬や化学肥料を減らして育てた「はればれ育ち野菜」、使用しないで育てた「あっぱれ育ち野菜」を育てています。(注1)

「うちの畑では30年前からレタスを育ててきて、生活クラブとはその頃から提携(注2)していました。その後、ピーマンとブルームきゅうり(皮の表面に白い粉(ブルーム)がつく品種)も出荷するようになり、他にも長芋や里芋、とうもろこし、にんにくなど、いろいろな野菜を育てています。幼い頃、親が野菜を育てている姿を見て、日々忙しく大変なことも多そうだけど、楽しんで仕事をしているなと感じていました。また、山で遊んだりキノコを採ったりして自然の中で過ごすのも好きでしたし、畑仕事を手伝ってお小遣いを貰うことも楽しかったですね。だから、会社勤めをしつつもいずれ親の跡を継いで農業をやろうと心に決めていました」。

(注1)生活クラブでは組合員と生産者が絶えず話し合うことで、化学合成農薬や化学肥料をなるべく使わず、栽培履歴が明らかな野菜を作ってきました。そのなかでも「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」「たぐいまれ」という3種のマークが付く野菜は、決められた農法・鮮度に基づいて作られています。「あっぱれ育ち」は、栽培期間中(収穫する畑へ種を撒いた後、または苗を植えた後から収穫するまでの間)、化学合成農薬と化学肥料を使用しないで育てました。
(注2)栃木県開拓農業協同組合と生活クラブは1988年に豚肉、1989年に野菜と牛肉の取り組みをスタート。その後も牛乳や米など、さまざまな生産物で提携しています。

「最初は父の手伝いでしたが、今ではほぼ私と妻のふたりでやっています。雨が降ろうが風邪をひこうが、収穫しなければ育ちすぎて出荷できなくなってしまいます。野菜は毎日手がかかりますが、大変とは思いません。楽しくやることが大事だと思い、日々作業しています」。
1日に6〜7センチほども伸びるきゅうり。倒れないように、毎日伸びた蔓をネットに固定する。
自宅から作業場まで車で30分ほど。将浩さんと妻の香織さんは、できれば畑の近くに家を建てたいと話す。

「緑肥」と「堆肥」でおいしいレタスを育てる

「うちの畑では父の代から肥料には堆肥を使い、除草剤も使いませんでした。農薬も予防のためには使わず、虫や病気が出た時にだけ最小限に使うよう抑えていました。そしてその考え方や農法をそのまま引き継いだ結果、生活クラブのあっぱれ育ち、はればれ育ちの基準に合致しました」。

除草剤を使用しない理由として、食の安全面以外でも合理性があると将浩さんは言います。畑を生態系の一部として考えた場合、土地に雑草がなく単一の植物しか生えていない状態というのは、植物の生態系としては不安定な状態。病気や害虫が発生しやすくなります。しかし、いろいろな種類の植物が生えていると、その根や周りの土壌に着く微生物も多様化して、土壌も植物の生育状態も安定するのだそうです

春と秋の収穫を終えると翌年は別の畑にレタスを作付けし、収穫後の畑は1年間休ませます。そして、1年間の休耕中に生えた雑草は春に作付けする前に細かく粉砕して土の中にすき込んで「緑肥」とします。春レタス収穫後の夏場は、地域の酪農家から分けてもらった牛糞を畑の側でしっかり発酵させ、熟成させた堆肥を作っておきます。そして、その堆肥は秋に作付けする時にすき込みます。

牛の飼料となる牧草は農家が作付けし、牛糞は堆肥として農家に還元される。この地域ではそのような循環サイクルが確立されている。
熟成した堆肥と混ぜて、粒状のよい土を作る。

「化学肥料や除草剤を使わない野菜作りは、おいしさを追求したらそうなっただけのこと。レタスが育っていくのと同様に、畝(うね)と畝の間の雑草も育ちます。うちの畑は傾斜があるので、雑草が生えていないと土が雨水と一緒に流れてしまい、低いほうの畝に泥が流れレタスにかかり傷んでしまいます。程よく雑草が生えていた方がレタスにも良いわけです。もちろん雑草が伸びすぎても日照を遮り生育に悪影響を与えるので、ある程度抜いたり刈ったりします。しかし取り除くだけではなく、うまく折り合いをつけて雑草と共存し、適切なマネージメントをしていくことが大切です。化学肥料や除草剤に頼らず手間暇かけて作ればおいしいレタスに育つので、農法だけでなく食味でも評価してもらいたいです」。

大切な苗の育成も人任せにせず、種から苗を育てる

春レタスの種まきは2月から始まります。農業の用語で苗半作(なえはんさく)という言葉がありますが、苗の段階でその後の出来・不出来の半分が決まってしまうほど苗作りが大事だという意味です。そこで将浩さんは、苗を買ってきて植えるのではなく自ら育てようと考え、ハウスの中で種から苗を育てています。その種を2日おきに撒くことで発芽のタイミングをずらしていき、レタスを一定の期間に毎日出荷できるように工夫しています。春レタスの収穫は5月の連休明けから7月の上旬まで続き、秋レタスの種まきは7月の後半から始まります。

「レタスは温度に敏感で、ちょっとした温度変化で結球しないこともあります。特に秋はむずかしく、数日間の温度差で球にならないこともあります。また病気によりレタスの中心部から傷むことも。そのため気候や気象変化によって、その年に適した品種が変わってきます。一見すると同じレタスのようでも、実はいろいろな品種に変えています。毎年変化する気候のなかで、いかに食味の良い品種を育てていくかは、いままでの経験がものをいいます。いままで30~40種類の品種を試していますが、今年の春は4〜5種類の品種を植えました。」

苗を植え付けているレタス畑には、畝ごとに若いレタスから収穫間近なものまできれいに並んでいます。大きく育ちいちばんおいしく食べられる状態になったものを見極めて収穫し、出荷します。
手前が若いレタス。収穫時期を調節するため2日おきに苗を植え付けている。
収穫を待つレタスの畝。雑草も程よく残っている。

国内自給力の向上をめざすアースメイド野菜



生産者と一緒に土づくりからはじめる。それが生活クラブの野菜です。化学合成農薬や化学肥料はできるだけ使いません。
また、「いつ・誰が・どこでどのように作ったか」という栽培履歴をすべて明らかにすることを基本としています。
新鮮・安心・おいしい。そんなサステイナブル(持続可能)な作物づくりに各産地で取り組んでいます。

「アースメイド野菜」の紹介ページはこちら

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