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生協の食材宅配【生活クラブ】
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加工で支える日本の食文化【日本果実工業(株)】

ユズの香りを少し加えただけで、食卓に和の豊かさが広がる。日本の食文化に欠かせないユズ、日本果実工業は無駄のない製品化で、生産農家を支える。

中山間地で特産づくり

三方を山に囲まれ、中心部には阿武川が流れる。山口県萩市の川上地域(旧・川上村)は、面積の9割以上を山林が占める典型的な中山間地だ。生活クラブの「ゆず酢」の原料となるユズのほとんどがここで栽培される。
稲作や林業・養蚕が盛んだったこの村に近代化の波が押し寄せたのは1960年代。コメは生産調整(減反政策)で作付けが減り、絹や木材も輸入自由化で価格が大幅に下落した。主要産業が次々衰退する中、代わりになるものはないかと模索した結果、始まったのがユズの栽培だった。

川上村農協(現・あぶらんど萩農協=JAあぶらんど萩=の川上支所)では本格的に出荷用のユズ栽培に乗り出すが、ユズは傷がつきやすく青果用として出荷できるものは限られ、広く流通させるには栽培技術の向上とともに加工手段の確保が求められた。
「余ってしまうユズをなんとかせいということで、最初は各農家に果汁を搾る機械を配布して搾ってもらい、それを買い取るところから始めたんです」と日本果実工業(略称・日果工)果汁農産部の安本純男さんは当時を振り返る。その後、取扱量も増え、原料を買い取り、工場で搾る形になった。
「青果は価格変動が激しいけれど、その点加工原料用は安定しています。ほぼ全量、高く引き取ってもらえることで農家の生産意欲は高まります」とJAあぶらんど萩の営農経済主任、島田隆治さん。現在は、約50戸の農家が「川上柚子(ゆず)部会」に所属、農協との協定書の基準に沿って栽培、出荷する。

栽培・収穫をバックアップ

ユズの生産現場が抱える課題は多い。高齢化が進み、手間をかけた栽培や収穫作業ができなくなる農家が増えていることが最大の悩みだ。日果工はここでも農協を支え、共にこの問題に向き合う。

「ゆず技術指導員」の肩書を持つ横山重信さんは、ユズ農家を経営しつつ日果工との契約により各農家への栽培指導を行う。兼業で日果工に勤めていた経歴を持つだけに「ええものを作らにゃいかん」と品質や安全性へのこだわりは強い。土作りに手間をかけ十分に有機質肥料を施すことによって、味と香りが全く違ってくるという。農薬も花の時期が終わってからは使わない。市場評価の高い青果の割合を高めつつ、傷のあるものを加工に回すという姿勢であれば経営は成り立つ。これが持論の横山さんは、自身もそれを実践しながら体験に基づく営農指導を行う。

農家にとって何より厳しいのが、栽培よりも労力を必要とする収穫作業だ。鋭いとげのある高い木の上での作業は高齢者には負担が大きい。日果工では、収穫ができなくなった農家に対し、同社が人を雇い賃金を支払って収穫作業を代行する支援も始めた。しかし農家に原料代を保証すれば赤字になることもある。一企業で行うには負担が大きく、萩市との交渉で近年ようやく、行政からの補助金が出るようになったという。

手搾りを再現する技

左から工場長の大草実さん、山下正憲さん、今川太一さん収穫されたユズを無駄なくいかに価値ある製品にするか。この課題を担うのが日果工業工場の生産本部だ。洗浄して果汁を搾り、ろ過して冷凍保管してから出荷前にびん詰め、殺菌するだけというシンプルな製造工程、添加物はもちろん、塩も酢も加えない。萩工場の工場長、大草実さんは「まずは安心安全、あとは果実のおいしさをどう引き出すかが、この工場のモットーです」と言う。そのためには原料が入荷後、すぐに搾ることが基本だ。「時期を逃がしたら味も香りも変わってしまいますから」と旬にこだわる。

さらにポイントとなるのは果汁を搾る工程。安本さんが「日本一のジュース作りのたくみ」と評する山下正憲さんがラインにつきっきりで機器の調整を行う。圧力が強すぎると余分な雑味が出てしまうし、弱くても香りのバランスが崩れ、歩留まりが悪くなる。大きさはもちろん、皮の厚さ、収穫時期によって原料ユズの状態は異なる。それを見極め、味をみながらの作業だ。
「マニュアルはあるけれど農産加工は五感が大事」と山下さん。熟練の技が製品の質を微妙に左右し、手作りに近い味と香りが再現される。
皮も蒸留して香り成分を抽出、製品化している。種も化粧品の原料として活用できないか研究中だ。
「その収益も農家に還元できます。だから他社より高い原料価格で買い取ることができるんです」と安本さん。「捨てるものがあっては駄目」が信条だ。

国内農業の課題に向き合う

安本純男さん(左)と横山江末子さん(中央)、重信さん夫妻なぜ日果工がここまで農家の生産を支援するのか。もともと同社は、山口県経済連(現・全農山口県本部)が農産加工品販売のために設立した会社で、「農家のために」という姿勢が基本。根底には食料は国内で作り続けなければならないという初代社長の強い思いがある。
「社長は戦争体験から、食べものの大切さを実感していました。工業製品を作って食料は外国から買うという考えは絶対に間違っとると。生活クラブとの提携もいかに国内の食料生産を維持できるかというところから始まっています」と安本さんは言う。

1980年代、日本は食料を輪人に依存する政策へと転換し、牛肉とオレンジの輸入自由化を決定した。「青果はまだしも加工用は輸入品に絶対に対抗できない」と誰もが思った。
その中で国内の果実栽培を維持していくにはどうするか。日果工は年間を通じて生産農家の収入を確保するためにより価値の高い加工品をつくり、これを生活クラブ組合員が安定して食べ続けることで、共に農業を支えていこうという思いが一致し、提携はスタートした。
「生活クラブとの提携は単なるビジネスでなく協同組合運動と考える」という社長の言葉を今でも大切にする安本さん。「継続して食べてくれる人がいるからこそ、なんとか今もユズの栽培ができています。日本の食文化に欠かせないユズの香りをこれからも幅広く利用してもらえたらうれしいですね」と語る。


都会と地方をつなぐ材

さわやかな酸味と香りが普段の総菜をグレードアップさせる。ユズは日本料理に欠かせない素材だ。消費材の「ゆず酢」1本には、山口県萩市の川上地域で生産されるユズの果汁が約10個分含まれている。
川上地域は、戦後の産業構造の変遷にほんろうされ、今また過疎・高齢化という課題を抱えながらも、ユズの生産を中心に地域の暮らしを維持してきた。そこで生産されるユズは消費地の食卓を豊かに彩る。「都会と地方をつなぐいい消費材だと思います」と日本果実工業果汁農産部の安本純男さんは話す。
国産だから防かび剤などの心配もない。ビタミンCはレモンの3、4倍はある。酢の代わりに、飲み物に手軽に楽しめば、風邪の予防・疲労回復にも効果が期待できる。安本さんの妻、緑さんに、手軽にできるおいしいゆず酢の使い方を聞いた。

簡単・手軽に、香りを楽しんで

安本緑さん●ゆずみそ
ゆず酢大さじ1、みそ100グラム、砂糖大さじ2~3、みりん大さじ2。以上の材料を耐熱容器に入れて電子レンジに。ぶくぶくしてきたらOK。あればユズの皮をきざんで再度かるく加熱する。豚肉や魚介のしゃぶしゃぶ、ふろふき大根などにぴったり。

●ゆずポン酢
ゆず酢と酢各100ミリリットル、しょうゆ200ミリリットル、みりん、酒各大さじ1強 昆布5センチ角1枚。以上をすべて容器に入れてまぜて1日置く。味はお好みで調整。「お気に入りの味にできること、何が入っているか全部わかって使える安心感が市販のボン酢よりもおすすめ」と緑さん。

●コールスローユズ風味
キャベツ3~4枚、キュウリ1/2本(お好みの量で)を太目の千切りにし、軽く塩をする。サラダ油大さじ1、ゆず酢大さじ1、こしよう適宜をまぜ、軽く絞った野菜をあえる。あればユズの皮をまぜると風味が増す。和風感覚のさっぱりサラダ。

●ゆず大根酢
ダイコン100グラムの短冊切りと塩少々、砂糖・酢各犬さじ1と1/2、ゆず酢大さじ1。以上を全部容器に入れ、ふたをして軽くゆする。半日以上でなじむ。カブやニンジンをいれても。

『生活と自治』2013年3月号の記事を転載しました。

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