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みんなでつくる地域のコミュニティー 生活クラブ長野の「クラブステーション」構想

高齢化が進み、家族の形が変化し、災害も頻発する日本。孤立する人が増える中、地域で人が集い、ゆるやかにつながっていく場が求められている。生活クラブ長野では、8年前から「クラブステーション」という地域の拠点構想を掲げ、コミュニティーづくりの実践を進める。
「生活クラブ松本クラブステーション・ラパン」のテラスで。左からラパンスタッフ、生活クラブ長野の理事長、成田由美子さん、ラパン運営委員長の三原崇子さん、同運営副委員長の井上祥子さん、生活クラブ長野の副理事長、千村康代さん、「生活と自治」編集委員の陸由紀さん

「くらしをステキに」

配達品の仕分け、ニュースチェックなどを行うスタッフ

JR松本駅から車で20分ほど。一見カフェかレストランにも見える街道沿いの小さな建物の中で、朝配達された数十人分の食品や日用雑貨が、スタッフの手で、並んだかごの中にテキパキと仕分けされていく。少々その量や仕分けのかごが多いが、それ以外は、生活クラブの大きな「班」で行われている風景と変わりがない。

違うのは、仕分けを終えた数人のスタッフが、それらを「くらステ個配」として登録している組合員の自宅まで一斉に配達していくことだ。「くらステ」とは、生活クラブ長野が進める拠点構想「クラブステーション」の略称。駅のように組合員が行き交う拠点を意味するほか、「くらしをステキに」という願いも掛け、みんなで付けた呼び名だ。

生活クラブ長野が、新たなコミュニティーづくりを目指してクラブステーション構想を方針化したのは2011年のこと。それぞれの地域に合った暮らしやすいまちづくりの一環として、地域にみんなが集える場所を設けていこうと提案された。

家賃などの物件費は、支部の総利用高の0・6%と共済手数料の40%で賄われる。実現に向けては、これをねん出できるよう、自ら組合員数と一人当たり利用高の目標を設定し、自分たちの手で達成することが必要だ。簡単な課題ではないが、自分たちの拠点を獲得したいという意思ある支部によって、現在、長野県内には七つのクラブステーションが誕生している。

その中の一つが、冒頭、カフェのようなたたずまいの「松本クラブステーション・ラパン」。松本支部委員会が中心になって立ち上げ、17年9月末までに組合員数1170人を達成し、翌10月にオープンした。ラパン運営委員会が管理、運営を担当し専任当番など有償スタッフも置く。そこにかかる経費は、この場を利用する人たちと単協からの委託費で賄う方式だ。

四つの機能がある場所

ラパンは、地域に向いて開く生活クラブのショーウインドー。何をして、どんな人が集まる生協かを発信する場所でもある
「くらステは、意思ある支部がそれぞれ、このような場をつくりたいという方針を持って進めていきます」と話すのは生活クラブ長野の理事長、成田由美子さんだ。地域の暮らしを豊かにするための四つの機能を基本に、具体的な内容は個々の支部が描いていく。

一つ目は、大勢の組合員が共同購入でつながるコミュニティーとしての機能。くらステは、20人以上の大人数の班をつくることから始まる。ラパンでは、勤めや家事、介護などで忙しい組合員も、都合のよい時間に受け取りにこられるよう、朝から夜遅くまで拠点に消費材を保管しておける仕組みを備えた。一方、高齢や子育て中で受け取りが難しい人には、自宅まで届ける個別配送機能も充実させようと取り組んでいる。「生活クラブ長野らしい個配」はかねてより単協全体で話し合ってきた課題だ。これを受け、見守りやケアの意味を兼ねた顔と顔を合わせて届けるくらステ個配を構想する。

二つ目は、支部の会議やイベントなど組合員交流のスペースとして利用できる機能。さまざまな組合員が出会い、やりたい活動を楽しむ自分たちの居場所となる。

三つ目は組合員だけではなく、地域とのつながりの場として活用すること。まちづくり活動を行う市民グループに場を提供したり、さまざまな講座や教室などを地域住民に向けて開催することで、生活クラブという存在が地域に「見える化」する。
四つ目は、人が集うことを生かした、食や福祉の事業の拠点としての可能性を見据える。ワーカーズコレクティブなど、自分たちの働き方を創出することも視野に置く。

「お行き会いの場」に

受け取りに来る人のために、牛乳にもひと工夫

長野県には「おい」という地域独特の言葉遣いがある。偶然に会う、ばったり会うという意味で、何とも優しい響きだが、ラパン運営委員の三原崇子さんと井上祥子さんは、くらステは、まさに「お行き会いの場」だという。

「そもそもこの建物のオーナーとの出会いが、くらステづくりの大きなきっかけになったんです」と三原さん。フランス語でうさぎを意味するラパンは、以前この場所で営業していたカフェレストランの名前だ。チラシまきの途中で偶然このカフェに立ち寄った三原さんたちは、借り手を探していたオーナーと出会い一気に構想が具体化したという。「オーナーの意向もあり、かわいいのでそのままくらステの愛称として使っています」と三原さんはほほえむ。

かつて生活クラブの話し合いや交流の場として人をつないできた班も時代とともに変わってきた。家にいる人が少なくなった今、班に配達品を取りに行っても誰にも会わないケースも多い。一日、誰ともおしゃべりせず過ぎてしまう日があるのが寂しいと「くらステ班」に移動してきた組合員もいる。

ラパンでは週に1日、くらステ班の配達日にはスタッフが終日常駐し、月に1回はランチも提供する。「配達品を受け取りに来てスタッフとおしゃべりしたりランチを楽しんだり、いろいろな企画もあるのでお誘いしています。チラシやメールだけでは伝わらないことも多い。やはり顔と顔を合わせるお行き合いの場は大切です」と三原さんは手応えを感じている。

「ここは、みんなの力でつくった地域の居場所なんです」と三原さん。開所まではいろいろ苦労もあったが、なぜか大変だったことはよく覚えていないと笑う。「人が集うためのツールがくらステ」と言うのは井上さんだ。「生活クラブの食材を中心に多くの人が集まり、つながる場にしていきたい」「生活クラブ長野らしい個配や配食サービス、福祉のワーカーズもつくれたら」などラパンの今後をめぐって、三原さんと井上さんの思いは尽きない。

撮影/御堂義乘   文/戸田美智子

『生活と自治』2019年12月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。

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