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疑わしきは対策を 遺伝子組み換え対策20年余の実績を生かして

「ゲノム編集」技術を使った食品の商業化は今、カウントダウンに入ろうとしている。1997年に遺伝子組み換え作物(GMO)への基本的態度を表明して以降、20年以上にわたり対策を重ねてきた生活クラブ連合会(東京都新宿区)は、これにどう対応するのか。

「ゲノム編集」にNO!

生活クラブ連合会(東京都新宿区)は、2019年6月に開催された第30回通常総会で「ゲノム編集食品を取り扱わないことを基本姿勢とする」特別決議を採択した。

同連合会の「消費材10原則」の第2原則では「遺伝子操作された原材料は受け入れません(以下略)」と定める。これに基づき、昨年からゲノム編集食品に対して懸念を表明、1年かけて生産者とともに各地で学習を重ねてきた。

ゲノム編集の研究が盛んに行われるようになったのは、12年に「クリスパー・キャス9」という方法が発表されてからだ。遺伝子組み換えが運に任せた確率の低い技術であるのに比べ、開発コストも低く簡単なことから爆発的に広がった。

ゲノム編集の仕組みと4つの懸念

簡単にできるとはいえ遺伝子操作であることに違いはなく、生活クラブ連合会が懸念するのもその点だ。同連合会の企画部長、前田和記さんは四つの問題点について次のように説明する。

「一つは、食品の安全性の問題です。タンパク質をつくる指令を出す遺伝子を操作するので、どんなタンパク質ができるか、またできなくなるか、さまざまな不測の事態も否定できません。食品として流通した場合、アレルギーなどの問題を引き起こすリスクが考えられます。

二つ目は生態系、環境への影響です。筋肉量を抑制する遺伝子を壊すことで、可食部の多いマダイづくりが研究されていますが、海に逃げないよう陸上の生けでの管理が徹底されています。自然界に出てしまえば回収不能、生態系に異変を生じることは研究者側でも認識されているのです。

三つ目は、種の支配の問題です。遺伝子組み換え技術は現在一握りの巨大企業が独占していますが、一方でゲノム編集は非常に簡単で安価な技術なのでベンチャー企業などにも開発が可能です。社会的責任を負う力もないベンチャー企業でも開発できてしまうので別の意味でのリスクが考えられます。

四つ目は規制管理のルールが不十分なことです。環境省や厚生労働省などの検討会が設けられましたが、本来、環境や安全性への影響を検討すべきところ、法律解釈に終始し実質的なリスク評価が審議されていません」

20年余の実績を生かす

生活クラブの遺伝子組み換え対策

生活クラブ連合会は1997年1月に「遺伝子組み換え作物・食品に対する基本的態度」を決定した。だがその段階では本当に対策できるかは未知数だったという。「道筋のない中、生産者と共に暗中模索でした。できるわけがないと業界から笑われたこともあったそうです」と前田さんは振り返る。国に対し流通規制や表示義務を求める政策提案運動をしながら並行して対策を進めた。3年を費やして、主原料だけでなく微量原料までを追跡して確認する、家畜飼料は海外の生産者と栽培の段階から契約して分別輸入するなどのルールと仕組みを確立し2000年に「STOP!GMO宣言」を表明、今日に至るまでその対策を徹底している。「今回のゲノム編集食品対策は、これらの上に立って進められるのが強み」と前田さん。まだ学習段階で戸惑う生産者も少なくないが、今後協議していけば必ず共に対策していけると確信していると言う。

表示についても、生活クラブ独自の在り方を模索するとともに国に対しても義務化を要求していく予定だ。国は科学的に検証できなければ表示できないというが、どう作られ流通してきたのか、トレーサビリティーによる社会的検証ができれば十分可能なはずだ。

他の生協や市民団体もゲノム編集食品については懸念を表明している。これらの動きとも連携し、広く社会的な動きにしていく構えだ。

生活クラブ連合会 第30回通常総会 特別決議

2019年6月24日

ゲノム編集食品の商業流通に懸念を表明し、生産者とともに対策をすすめます


日本で遺伝子組み換え食品の商業流通が認可されたのは1996年のことです。私たちは、その翌年の1997年度連合総会において遺伝子組み換え食品を取り扱わないことを決定し、生産者の協力を得て原材料を含めた対策を開始しました。あわせて、国に対し流通規制や表示義務などを求める政策提案運動を継続して展開してきています。消費材の遺伝子組み換え原料対策は、現在では一部の消費材に微量原材料の課題を残す水準まで到達しています。

一方で産業界では、遺伝子操作技術を経済活動に利用するための研究開発が活発に推進されています。ゲノム編集も遺伝子操作技術の一つですが、その操作効率の高さから遺伝子組み換えに比べて時間とコストがかからないため、急速に実用化に向かっており、今年中にも表示義務もなく市場に流通するといわれています。多角的かつ長期的なリスクに関する情報が十分に公開されることなく、ゲノム編集食品の経済効果だけを重視した商業化と、それを後押しする行政対応が進められていることに、私たちは重大な危機感を持たざるを得ません。

昨年の本総会で、ゲノム編集の4つの問題点(食の安全性、生物多様性、種子の独占、規制ルール)を確認し、商業化への懸念を表明しました。これを受けて、生活クラブ連合会、会員単協および生産者は学習会を開始し、問題点の共有をすすめています。

私たちは、「生活クラブの消費材10原則」の改定にあたって、組合員と生産者がともに検討を重ね、「共に対等な立場で消費材を開発し、その共同購入を通じて“健康で安心して暮らせる社会”の実現」を掲げ、第2原則では「遺伝子操作された原材料は受け入れません」として、「生命の倫理に反し、企業による支配を招く“食べ物の遺伝子操作”に反対します」と定めることを決定しました。
この原則をふまえ、ゲノム編集食品についても、消費材の原材料に受け入れないことを基本姿勢とします。

「生活クラブの消費材10原則」を堅持し、食の安全・健康・環境を尊重し、持続可能な社会を生産者とともにつくりあげていきましょう。

イラスト/石渡希和子   文/本紙・戸田美智子


『生活と自治』2019年9月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。

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