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パリ協定に基づく温室効果ガス低減にむけて生活クラブがパブコメを提出

地球温暖化対策の国際的なルールである「パリ協定」では、すべての国に対して、今世紀後半に向けた長期の温暖化対策計画を策定し、2020年までに国連に提出することが約束されています。

日本政府は、昨年度の有識者会議による提言を踏まえて、この度、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」をとりまとめ、パブリックコメントを4月25日から募集しました。

「パリ協定」を確実に実現するという観点からは、この「長期戦略案」は温室効果ガス削減や再生可能エネルギー導入の数値目標が不十分であるだけでなく、原発の再稼働や石炭火力と共に、技術革新に過度に依存していると考えられることから、以下の5点の意見を提出しました。

1.IPCC「1.5℃特別報告書」の警鐘に鑑み、2050年までに国内削減のみでCO2の実質排出ゼロを日本のゴールとして明記すべきです。

 最終到達点として「脱炭素社会」を掲げたことは評価できますが、 2050年の長期目標は「2050年までに80%削減する」という従前のものに留まっていることは全く評価できません。

これでは、「地球温暖化が現在の度合いで続けば、 2030年から2052年の間に工業化以前の水準より1.5℃上昇する可能性が高い」、「早ければ2030年にも1.5℃まで上昇し、今世紀後半には3℃まで上昇する可能性が高い」とするIPCCの「1.5℃特別報告書」の警鐘を無視するものであり、将来世代の負担を過酷なものとしかねません。

従って、パリ協定を合意した理念の根底にあるClimate Justice*を踏まえつつ、IPCC「1.5℃特別報告書」の警鐘に鑑み、 2050年までに国内削減のみで実質排出ゼロを実現することを日本のゴールとして明記すべきです。
 

*Climate Justice=気候正義。気候変動への責任を果たし、途上国の人々との不公平を正していこうという考え方。
 

2.大規模自然災害やテロによる放射能汚染事故を回避するために一日も早く原子力発電を停止すると共に、第5次エネルギー基本計画・エネルギーミックスを見直すことを明記して、本文を全面的に修正すべきです。

 原子力発電がCO2を排出しないのは運転時のみでしかありません。他方、原子力発電は、過酷事故に伴う放射能汚染や核廃棄物の問題など解決策のない深刻で重要な問題を抱えています。

歴史を顧みれば、日本はプレート4枚がひしめき合う特殊な地形のため、巨大地震や火山噴火が続発してきた国であり、原子力のような発電技術を選択することは不適当と言わざるを得ません。

更にその上、今日の国際環境下では、不測のテロに襲われる危険性がますます高まっています。先般、原子力規制委員会が、「原子力発電所に設置が義務付けられているテロ対策施設が規制上の期限に完成できない場合、原則として運転停止を命じることを決めた」ことは至極当然の判断であるといえます。

こうしたことから、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」の複数箇所で、「2050年には原発は再稼働されていることが既成事実であるかのような表記」はとうてい認めることはできません。

大規模自然災害やテロによる放射能汚染事故を回避するために一日も早く原子力発電を停止すると共に、第5次エネルギー基本計画・エネルギーミックスを見直すことを明記して、本文を全面的に修正すべきです。

3.2050年までに目指すべき数値目標として、発電部門は100%再生可能エネルギーで賄うことを明記すべきです。

大規模自然災害やテロによる放射能汚染事故を回避するために一日も早く原子力発電を停止すると共に、地震大国である日本には不適切な二酸化炭素回収・貯留(CCS)に依存した石炭火力発電所をフェードアウトすることが必要です。 

そのことを前提にしながらも「パリ協定」を実現するためには、これまで以上に省エネルギーを徹底した上で、再生可能な自然エネルギーを飛躍的に拡大させることが不可欠です。 

従って、 2050年までに目指すべき数値目標として、発電部門は100%再生可能エネルギーで賄うことを明記すべきです。 
 

4.世界中の投資家がダイベストメント(投融資の引き上げ)している石炭火力発電所については、新規の建設・稼働を認めず、すべての石炭火発のフェーズアウト計画を策定すべきです。

WWFジャパンの資料によれば、日本には現在、約4300万kWの石炭火力発電所があり、計画中もしくは近年に稼働したものが約1600kW存在します。これらがすべて稼働すれば、 2050年までの日本の脱炭素化は不可能になり、将来世代に過酷な負担を強いることになりかねません。石炭火力発電所から排出された二酸化炭素を回収・貯留(CCS)する技術開発についても盛り込まれていますが、CCSはまだ商業利用の見通しが立っていないだけでなく、地震大国である日本で採用するには慎重な検討が必要です。 

従って、世界中の投資家がダイベストメントしている石炭火力発電所については、新規の建設・稼働を認めず、すべての石炭火発のフェーズアウト計画を策定すべきです。 

*ダイベストメント:化石燃料産業や石炭産業から、すでに投資している金融資産を引き揚げることによって投資の脱炭素化を図ること。(EICネットより)
 

5.CO2を見える化し、日本の産業や私たちの暮らしに変革を促すためにも、カーボンプラシング*の導入に向けた議論を進めることを明記すべきです。

産業や暮らし方を、これまでにないほど大きく転換するためには、これまでにない施策が必要です。本文中に「非連続なイノベーション」という文言が多数記載されています。技術革新は重要なことですが、将来的に具現化することができなければ問題解決の先送りにしかなりません。それに引き換え、カーボンプライシングについての記述があまりにお粗末です。既に、欧州や米国の一部、中国でも導入が進められていることに鑑みれば、むしろ日本は国際的な炭素取引市場に積極的に参入して、国際社会をリードしてゆくことが求められているとも考えられます。 

温暖化防止のため、産業界はこれまで「自主的取り組み」を行なってきましたが、OECDによれば「1990年代には世界最高水準だった日本の付加価値ベース炭素生産性(温室効果ガス排出量当りのGDP)は、 2000年頃を境に国際的な順位が低下し、震災前からその改善率が低迷している」ことが明らかになっています。 

また、石炭火発が温存されている理由のひとつに、現在の地球温暖化対策税の問題があります。環境省によると、スイスの炭素税は9860円/t-CO2、スウェーデンは1万5670円/t-CO2ですが、日本の地球温暖化対策税は289円/t-CO2に過ぎず、CO2排出抑制に効果的であるとは言えない水準に留まっています。 

従って、CO2を見える化し、日本の産業や私たちの暮らしに変革を促すためにも、カーボンプライシングの導入に向けた議論を進めることを明記すべきです。 

*カーボンプライシング:炭素税や排出量取引などにより炭素に価格を付けること。気候変動の原因となる二酸化炭素(CO2)による社会的外部費用(気候変動によるさまざまな被害など)を内部化するために、排出される炭素の量に応じて何らかの形で課金をすること。

 
【2019年5月23日掲載】

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