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震災を乗り越え、国産原料を使った安全な練り製品をつくる《食をつむぐ人たち・練り物篇②》

宮城県東松島市 株式会社 高橋徳治商店
高橋英雄さん(68歳) 高橋利彰さん(38歳) 高橋敏容さん(34歳)

《練り物篇①》の動画も合わせてご覧ください。

「おとうふ揚げ」ができるまで


震災後に初めて復活した生産ラインでは、生活クラブで抜群の人気を誇る「おとうふ揚げ」に挑戦しました。2004年から製造していた「おとうふ揚げ」ですが、震災でレシピが流されてしまったため、英雄さんの経験をもとに、戻ってきたスタッフや製造課長、工場長と試行錯誤を経てつくりあげたそうです。その様子を間近で見ていた敏容さんはそのとき初めて「ものづくり」の深さ・手応えを感じたといいます。
おとうふ揚げの主原料は放射能問題から自社すり身加工機械を廃棄しすり身製造を断念、北海道産のスケトウダラのすり身メーカ-の指導と提携。練り上げるとタラのうま味と独特の弾力が生まれる。
形成された「おとうふ揚げ」の生地は、人の目でチェックを受けながら揚げ油に投入される。
「東京から戻って工場の仕事をしているうちに、自分たちが直接つくったものを皆さんに食べていただく、ということにやりがいを強く感じました。食品添加物を使わないということは、天然素材の影響が大きく品質保持が難しくなります。そのために素材そのものの品質を見極める目を養い、失敗を重ね執拗に品質を追求し経験値を積んでいきたいと思いました」

豆腐とすり身本来の旨味、自然の甘さ、香りを感じられる「おとうふ揚げ」は素材の味を活かしたクセのない風味が特徴です。原料の豆腐は生活クラブ岩手の豆腐生産者「だいず工房」のもの。にがり以外、食品添加物を使わない岩手県南部農協の大豆の豆腐です。
揚がったばかりの「おとうふ揚げ」をチェック。商品ごとに決められている口に入って噛んで飲み込むまでの食味食感・香りなど「設計図」に沿っているか、製造現場での試食検証がロットごと必死に行われる。製造スタッフの試食に続き、管理部門スタッフ試食の後で違和感があれば、生産ラインが即座に止まる。
英雄さんと工場長をはじめとする複数のスタッフで、毎朝試食。納得がいく「設計図」通りの味であれば本製造に入るが、そうでなければ調整を続ける。場合によってはやり直しとなることも。食味への追求は2019年初頭で2300日も続いている。
さまざまな料理の具材としても活用できる!と人気の「おとうふ揚げ」の味を決めるのは、英雄さんや工場長をはじめとするスタッフの味覚です。毎朝、生産ラインで最初につくられた製品サンプルは現場試食の後、すぐに事務所へと持ち込まれ、その場で試食をしながら意見交換がはじまります。味に納得がいかなければ再度調整しますが、まとまらない場合はその日に生産しないことも。味に妥協しないことは、信頼してくれる皆さんのために絶対に欠かすことができない「メッセ-ジ」のようなものと、敏容さんは言います。

もちろん、社内にある検査室では、その日に製造された製品と材料の品質、菌の検査を日々実施しています。
 
毎日の品質検査の様子。

社会との接点に悩む若者の就労支援を行う第2工場がスタート

東松島工場敷地内に新設された野菜加工工場。石巻市に本社を置いていた高橋徳治商店は、2011年の東日本大震災の大津波被害により、全3工場が全壊。2013年に本社工場は解体され更地のまま、隣町の高台に東松島新工場が新設された。

2018年3月12日、東松島新工場の敷地内に野菜加工工場が新たに誕生しました。ここは英雄さんの3年間の構想(思い)を実現した工場で社内の反対意見が多い中、三年の間少しずつ合意形成して作った工場です。英雄さんがその構想を書き記した文書を以下に抜粋します。

「あの震災で、多くの課題が表面化し、日本全体の問題が地続きで被災地に凝縮されていると言われています。高齢化、過疎化、孤独死、引きこもり、圧倒的な不登校率、そして生活困窮……土木建設中心で復興は進んで見違えるような街並みにはなっているけれど、その一方で、被災した人々の心の暗い部分はどんどん深く広がっている気がします。宮城県は不登校で全国ワースト1位。そういう光の当たらない部分にしっかり光を当てていくために、引きこもりや社会との接点に悩む若者の就労支援という側面を持った野菜加工工場をつくりたいと思いました」
 
震災の1年前に実家に戻ってきた長男の利彰さんは総務部の仕事のかたわら、野菜加工工場の製造ラインにつき若者たちと共に悩みながら並走指導している。

石巻とその周辺地域には15歳から39歳までの若年未就労者が1千人ほどいると言われています。英雄さんは石巻地域若者サポートステーション(運営主体:NPO法人ワーカーズコープみやぎ三陸地域福祉事業所)と連携し、震災で心に傷を負った若者の就労希望者を受け入れて地域の雇用の礎(いしずえ)となりたいと考えているのです。

野菜加工工場の運営には英雄さんのもと、利彰さんも多く携わり、不慣れな若者スタッフと一緒になって、さまざまな青果物や農産物を加工しています。加工を終えたものは冷凍にして生活クラブはじめ全国の生協に販売していますが、今後は近郊地域の生産者との提携や障がい者施設や高齢者施設との提携、農地での若者就労も構想中です。

利彰さんは「昔のように、仕事の手順を『見て覚えろ』なんて言うことはありません。一緒に作業しながら、様々作業の方法を「共に考えながら」丁寧に順序立ててわかるように話すことを心がけています。スタッフが会話や笑顔、気配りさえ出てきたことにはビックリ。そして自分たちや会社のスタッフさえも並走して来たことで大きく変化、人としても成長しました。」と語る。

英雄さんの夢は単なる就労支援だけでは終わりません。実際に働く若者たちの中から「この仕事をもっとやってみたい」という声があれば、工場の運営を任せることまでを視野に入れているといいます。作業を通じて仲間と共に沢山の気づきと自分と向き合う力をつけてきた若者たちは、必死に這い上がろうともがいています。だからこそ、そこに新しい復興のこれまでと違うステ-ジが見えてくる気がするんです。そしてそれは私たちスタッフや地域の人たちの力になり笑顔になり光となってくるはずだと・・・英雄さんは熱く語りました。

地元の未来に希望を与えられる企業に

地元の人に「あの高橋徳治商店で働いてるの! いいね!」と言われるような企業になっていけたら、と敏容さん。
敏容さんは「生活クラブと共に、創業150周年を目指しています。今の自分の年齢の倍以上かかりますけどね」と笑顔で話してくれました。創業150周年は2056年、37年後のこと。

東松島工場の入口には、「ゆっくりですが 一歩また一歩 そしてまた一歩」という言葉が、牛やリヤカーを引く人たちのシルエットの絵とともに掲げられています。急がず、焦らず、一歩一歩できることを積み重ねていくことで、未来への扉は必ず開かれるに違いありません。
人の痛みを我がこととする、高橋徳治商店のみなさん。2019年3月13日 東松島工場にて

おとうふ揚げ

フンワリやわらかい練り製品
北海道産のタラのすり身と国産大豆の豆腐でつくった、フンワリやわらかな練り製品です。解凍して、そのままおやつやおつまみにしても、料理の素材としても大活躍。おでんや煮物に使うほか、チーズとあわせたり、焼いたり、炒めものに使ったり、揚げたりと、様々にアレンジして楽しむことができます。

「おとうふ揚げ」の紹介ページはこちら

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