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手塩にかけた実りを届けます「津軽のりんごっこ、美味はんでの」

 青森県北西部の津軽地方は、リンゴの一大産地。「古川こがわりんご園生産グループ」は、津軽富士と呼ばれる岩木山のふもとで有機質肥料を使いリンゴ園を営む、生活クラブの提携生産者だ。

台風21号来襲

色づいたジョナゴールド(左写真)、「古川りんご園生産グループ」代表の古川元祥さん(右写真)

2018年9月、台風21号が日本海を北上し、4日の夜遅くから5日未明にかけて青森県の西側を通過した。強風により、弘前市を中心とした津軽地方の多くのリンゴ農家が落果や倒木の被害にあった。

「古川りんご園生産グループ」代表の古川元祥さんのリンゴ園は弘前市北東部にある。夜、リンゴ園を見に行ったものの、ポタポタと果実が落ちていく光景を見ていられず家に戻った。眠ることもできず、少しでも風を防ごうと、風の通り道に当たる道路にトラックを出してみたりした。夜が明け、リンゴ園を見に行くと、落ちた果実も多かったが、枝にはまだリンゴが残っており、「よかった、またこれでやっていける」とやっと気持ちが落ち着いた。

しかし点検してみると、収穫期のつがる、ジョナゴールドなど20キログラム入りの木箱250箱分ぐらいの落果があり、木に残ったリンゴも、枝が当たったりこすれるなどして多くが傷ついた。さらに10月初めにも台風25号が近くを通り、傷果はさらに増えた。傷果はジュースなどの加工業者に売るしかないが、生食用よりもかなり安い。「津軽地方は11月に入ると北西の季節風も吹き出します。風は防ぎようがありません」と、元祥さんの表情は厳しい。

生活クラブとの出会い

元祥さんの父、良三さん。リンゴをつくって60年近くになる。雹(ひょう)や台風による大きな被害も受けた。いろいろな出会いを重ねながら、今も「リンゴづくりにこれでいいっちゅうことはない」と畑に出ていく

化学合成肥料の使用が当たり前だった1980年代、元祥さんの父親の良三さんも同じように化学合成肥料を使っていた。しかし、ある年突然、リンゴが大きく実らなくなった。こんなに粒が小さくては買いたたかれてしまい、生活が成り立たなくなると思い悩む日が続いた。そんな時、知り合いから馬ふんを肥料にしてはと勧められ、馬ふんと敷きわらで堆肥をつくり畑に入れてみると幹が太りだし、3年後にはリンゴが元の大きさに戻った。

良三さんは土づくりの大切さを思い知らされ、馬の肥育業者が廃業した後も有機質肥料を使い続けた。「もう使わなくなった木を切り倒して根を抜くと10センチほどの馬ふんの肥料の層が出てきますよ」と元祥さん。良三さんの土づくりへのこだわりを実感するそうだ。

「古川りんご園」と生活クラブとの出会いのきっかけは、生活クラブ神奈川が、良三さんが化学肥料ではなく馬ふんを使い土づくりをしていると聞きつけたことだった。
生協の共同購入は、良三さんにとっては初めての大きな取引で、不安を抱えながらも88年より打ち合わせを進めていた。そのさなか、89年10月、津軽地方に雹が降り、収穫直前のリンゴに大きな被害が出た。その時生活クラブ神奈川は、雹が当たって傷ついたリンゴを生食用として引き取り、良三さんは大いに感激したという。
こうして、化学肥料や農薬を多く使ってつくられた見た目のいい果物ではなく、安心しておいしく食べられるものに価値を置く生活クラブの姿勢を知った良三さんは、五所川原市や板柳町でリンゴを栽培する農家にも声をかけ、生産グループをつくっていった。

津軽のリンゴづくり

1.忙しいけれど収穫はうれしいと、笑顔がこぼれる、2.3.リンゴの貯蔵施設。1箱にリンゴ70個ぐらい入る木箱を4000箱収納できる、4.台風による強風で枝が当たり、傷ついたリンゴ

現在、古川りんご園生産グループは7軒の農家の集まりで、つがる、ジョナゴールド、王林、ふじなどを生産する。除草剤は使用せず、統一して同じ有機質肥料を使う。害虫防除は、生活クラブの自主基準をもとに毎年全員で防除暦をつくり、それに従う。また、それぞれがリンゴの貯蔵施設を持ち、収穫したリンゴは鮮度が落ちないように、原則その日のうちに搬入し、0度より少し低い温度で保管する。

長野県や山形県など他のリンゴの産地は、年内は雪がそれほど降らないため、収穫がすむ年末まで木に果実をならせておけるので貯蔵施設は必要ない。津軽地方は11月中旬を過ぎると雪が降り始め、収穫しないままにしておくとリンゴに凍害が起こる。さらに、根雪になると運搬車が入れなくなるので急いで収穫して保管しなければならない。

古川りんご園生産グループは、他の産地の出荷が少なくなる年末から翌年の3月まで、ふじや王林などを供給する。「健康にいいといわれるリンゴをできるだけ長い期間、おいしく食べてもらえればと思っています」と、元祥さんは水分が飛ばずおいしさも保たれるように、貯蔵方法を工夫している。

変わって行く環境


現在、古川りんご園生産グループは7軒の農家の集まりで、つがる、ジョナゴールド、王林、ふじなどを生産する。除草剤は使用せず、統一して同じ有機質肥料を使う。害虫防除は、生活クラブの自主基準をもとに毎年全員で防除暦をつくり、それに従う。また、それぞれがリンゴの貯蔵施設を持ち、収穫したリンゴは鮮度が落ちないように、原則その日のうちに搬入し、0度より少し低い温度で保管する。

長野県や山形県など他のリンゴの産地は、年内は雪がそれほど降らないため、収穫がすむ年末まで木に果実をならせておけるので貯蔵施設は必要ない。津軽地方は11月中旬を過ぎると雪が降り始め、収穫しないままにしておくとリンゴに凍害が起こる。さらに、根雪になると運搬車が入れなくなるので急いで収穫して保管しなければならない。

古川りんご園生産グループは、他の産地の出荷が少なくなる年末から翌年の3月まで、ふじや王林などを供給する。「健康にいいといわれるリンゴをできるだけ長い期間、おいしく食べてもらえればと思っています」と、元祥さんは水分が飛ばずおいしさも保たれるように、貯蔵方法を工夫している。
 

撮影/田嶋雅已 文/本紙・伊澤小枝子

人の手に育まれて

 「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」「リンゴが赤くなると、医者が青くなる」など、健康にまつわるリンゴの言い伝えをよく耳にする。小さい頃、おなかをこわした時などは、まずすりおろしたリンゴが食卓にのった。さっぱりとしたやさしい甘さが体を元気にしてくれるようだった。

リンゴは強い抗酸化作用があるポリフェノール、加熱しても壊れにくい性質を持つビタミンCなど体を健康に保つ多くの栄養素を含む。腸内環境を整える食物繊維も豊富で、果物の中でも一年中食べていたいもののひとつだ。

そんなリンゴの栽培作業は、草刈りや防除のための薬剤散布以外は全部、人の手によるもの。
真冬には「剪定」が黙々と行われている。リンゴ栽培でとても重要な仕事のひとつだ。春になった時の木の姿を思い浮かべ、どう枝が伸びてどこに実をつけるかと想像しながら、全体によく光が当たるように余分な枝を切り落とす。何年も先に、木がどんなふうに成長するのかも考えながらの仕事だ。

降り積もる雪の中で、防寒着とかんじきをつけた重装備での作業が3月末まで続く。高齢化や後継者不足のため、剪定技術を持つ人も少なくなってきた。5月に花が咲いてもまだ終わらない農家もある。

花が咲くと摘花、さらに摘果、仕上げ摘果と、実らせるリンゴを選んでいく。秋にリンゴが色づくころには「葉取り」と「玉まわし」を始める。葉とりは、果実の近くにある葉を摘んで、日の光をまんべんなく当て、リンゴ全体にきれいな色がつくようにする作業だ。10年ほど前より、この葉取りの作業を省略し「葉とらずりんご」をつくる農家が出てきた。

大きくて甘いリンゴができるのは、葉の光合成でつくられるでんぷんによるものだ。葉取りをするときれいな色のリンゴができるが、摘み取られた葉がつくるはずだった栄養は実に届かなくなる。「葉とらずりんごは色がついていない部分もあって、見慣れたきれいなリンゴとはちょっとちがいます。けれど食べてみると甘くて味に力があります」と、「古川りんご園生産グループ」代表の古川元祥さん。「おまけに台風や季節風などの強い風が吹いても、葉っぱがあるとリンゴが傷つくのを防いでくれます。葉取りは日に当てて色を付けるだけの作業。やめると労力不足も少しは解消できますよ」と、葉とらずりんごを増やしていきたいそうだ。

リンゴを収穫するまでに、ひとつひとつの果実に少なくても5回はさわるという。一年を通してリンゴ農家が見守り、一個一個人の手で摘み取られたリンゴが、雪国から届けられている。

撮影/田嶋雅已 文/本紙・伊澤小枝子
 

『生活と自治』2019年1月号の記事を転載しました。

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