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協同組合の価値がつなぐ国家を越えた市民の交流


▲2014年に台湾で開催された「アジア姉妹会議」(写真提供:生活クラブ連合会)

生活クラブ連合会では、毎年1回、韓国・台湾の生活協同組合との交流を20年にわたり続けている。国や言葉が違っても、協同組合としての価値を共有することで、市民と市民が交流し、相互理解を深めることが目的だ。韓国や中国への悪感情を示す人や出版物が増える今、改めてその意義と経緯を振り返る。

姉妹提携の始まり

韓国の「女性民友会」(現「幸福中心生協連合会」)と、台湾の「主婦連盟」(現「台湾主婦連盟生活消費合作社」)は、いずれも女性の社会的地位の向上を目指す運動団体だ。共同購入事業を模索していた1990年代に、生活クラブ関連の書籍の翻訳作業を通して組合員同士の交流が始まった。その後生協としての実績のある生活クラブが韓国からの職員研修を受け入れるなど、両団体の生協作りを進めてきた。

こうした関係を基に、99年に、友好親善や、互いの経験を共有することを目的として三者の間で姉妹提携が締結された。以来、年に一度、三者が持ち回りで「アジア姉妹会議」や交流会を開催している。

生活クラブ連合会では連合理事を中心として「女性委員会」を結成、日本での開催を担当してきた。2015年にその機能は連合理事会に移行されたが、その後も引き続き交流を続けている。

20年近く姉妹提携を続けてきた意義について、生活クラブ連合会会長の加藤好一さんに聞いた。

共通の課題解決を

――アジア姉妹会議や交流ではどのようなテーマが取り上げられているのですか。

生活クラブ連合会会長 加藤好一さん

当初は、主に国際協同組合同盟(ICA)の協同組合原則について、自分たちがどのようにとらえて生協運営の中で実践しているかを共有していくことに重点が置かれていました。同時に、その頃遺伝子組み換え(GM)作物の作付け面積が米国などで拡大し大きな課題となっていたのでこの問題にも取り組みました。

ある程度の量の購入を約束しないと非遺伝子組み換え(NON-GM)作物はどこも作ってくれません。当初はNON-GMの原材料を使っていた日本のビールメーカーが方向転換するかもしれないという情勢になったとき、姉妹提携をしていた生協に、 一緒にNON-GM原料を購入してもらえないかとお願いしました。コストが高ぐなるので、簡単なことではありませんが、韓国の生協が協力してくれて徐々に取り扱う量を増やしてくれました。生活クラブの生産者が多くの食材の原料をNON-GMに切り替え生産し続けられるのも韓国、台湾の生協との連携があるからです。

――生活クラブでは食料(Food)、エネルギー(Energy)、介護・福祉(Care)を自前で調達しようとFEC自給圏*構想を掲げていますが、これについても連携できることはありますか。

FECの自給という課題の背後にある問題は、韓国、台湾、日本で一緒です。協同組合原則の次の課題を話しあう中で、連携を深めていくことを提案しました。

まず食料の問題について3カ国に共通しているのは、低下し続けていく食料自給率の問題です。韓国は米国との自由貿易協定を結び、畜産物の輸入が増えて自給率が悪化しています。日本でも欧州との経済連携協定(EPA)が締結され、環太平洋連携協定(TPP11)の交渉が進んでいて国内の農畜産業の生産基盤が脅かされています。生協は産直提携が基本です。生産者とのつながりをどのように作り、その地域における農業生産をどう持続させていくのかという経験を共有することはできるし、場合によってはそれぞれの地域の産地と提携することも可能です。海外であっても生活クラブの消費材基準を満たし、生産工程がわかっているという関係性が前提としてあれば、信頼できます。

姉妹提携の生協ではないのですが、韓国の「ドゥレ生協」の提携生産者の団体と、生活クラブの生産者の団体である「親生会」は、昨年から相互交流を進めることになりました。時間はかかるかもしれませんが食による連帯は不可能ではありません。

エネルギー問題についての共通の課題は原発問題です。日本の方が総数は多いのですが、国土面積における原発数の割合は韓国が世界一です。日本海に面した地域は日本と韓国の原発でいっぱいなのです。台湾は現在3基しか原発はありませんが、台湾も地震が頻発する地域なので、事故が懸念されています。脱原発を進めること、再生可能エネルギーに移行させていくこと、省エネの暮らし方を模索することは共通の課題です。

介護、福祉についても、少子高齢化という課題は共通のものです。日本は今その真っただ中にありますが、そのうち韓国と台湾も同じ状況になる懸念はあります。困難な状況にならないうちに生協としてどういうことが可能なのか、経験交流と議論を進める必要があります。去年は横浜市で会議を開催しましたが、その時のテーマは介護・福祉で、生活クラブ神奈川や福祉クラブ生協の福祉事業について研修を実施しました。
*F:食料、E:エネルギー、C:ケアの略。内橋克人氏(評論家、旧2012国際協同組合年全国実行委員会・委員長)が提唱。
 

交流の意義を再確認

――姉妹提携で参考になったのはどんなところですか。

日本では生協が多く選択肢がいくつもありますが、韓国、台湾では競合する生協があまりないために、組織としての伸長率がとても高いです。そのために、アクテイブな人がおのずと集まってくるようで、各国内の脱原発やNON-GM運動では、姉妹提携の生協が大いに活躍しています。

特に韓国は、協同組合基本法ができてから、協同組合運動が格段に広まりました。協同組合の核となるワーカーズコレクテイブのような団体が比較的容易にできるようになっていて、年間数千の単位でできています。厳しい状況の中でも、働き方の一つとして、いきいきと働こうという人たちが出てきているのでしょう。私たちも参考にしたい動きです。

――近年、東アジア諸国に対して憎悪感情をあらわにする人も増えています。

中国、北朝鮮を含めた東アジアの情勢については、市民レベルの交流がますます必要になってきていると思います。あくまでも生協としての連帯の組織ですが、世の中が戦争になったら共同購入自体、継続が難しくなります。場合によっては平和の追求などを念頭に置いた活動も必要となるかもしれないし、それについでも考えていけるような場所になればいいと思っています。

その意味では私たちが三地域の経験交流を積み重ねてきたことは非常に意義深いものがあり、今そのことを再確認すべきだと思います。蓄積してきたことだけではなく、今後どのように付き合いを深めていけるのか、活発な討議をして、具体的な実践につなげていきたいと考えています。

撮影/永野佳代  文/佐々木和子

★『生活と自治』2018年6月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2018年6月15日掲載】
 

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