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ベトナム産粗放養殖エビが消費材になりました! 産地の環境と安全に配慮したエビの生産を支えましょう


エビは人気の高い水産品のひとつで、生活クラブでも利用量も多い消費材のひとつです。

しかし、品質の高いエビを安定して供給し続けるためには、生活クラブが従来から取り扱ってきたインドネシア産の粗放養殖エビ「エコシュリンプ」の産地だけでは十分な生産量が確保できない可能性もあるため、産地の複数化が課題となっていました。その解決策として、新たにベトナムの産地と提携し、環境に配慮した育て方による「粗放養殖エビ」の共同購入が2017年秋よりはじまりました。

*写真:生産者代理人のキエンさんと、ベトナムで生産現場を視察した生活クラブ神奈川・副理事長の大久保明美さん(中央)、多摩南生活クラブ・副理事長の落合由美さん(右)

組合員が現地を訪問 収穫から製造までを点検しました

エサは自然発生するプランクトン

生活クラブは、ベトナム産ブラックペッパーの取り扱いをきっかけに、エビの養殖に適した気候のベトナム国内で、生産者や生産過程が明らかな、品質の高い養殖エビの開発に3年がかりで取り組んできました。現地の生産者の努力がみのり、稚エビの池入れ後は抗生物質や人工的なエサを使用しない粗放養殖で育てたベトナム産ブラックタイガーの共同購入がようやくスタートしました。

2017年6月、生活クラブ連合会から組合員を中心としたメンバーがベトナム南端のカマウ省を訪問、養殖エビ(ブラックタイガー)の産地を視察しました。

粗放養殖の池は川に面しており、周囲はマングローブで囲まれ、1つの池が平均約4ヘクタールと広く、奥行きは500メートル前後もあります。「稚エビは池の一番奥に放流し、約3ヶ月後に成長して川への出口に移動したところを収穫します」と、生産者代理人のキエンさんは語ります。自然に近い環境を活かした養殖池には、プランクトンなどの微生物が豊富に発生し、それがエビの飼料になります。人工的な飼料に頼り、病気の発生や環境への影響が問題となっている「集約型養殖」と言われるやりかたとは全く異なります。「エビの病気を防ぐための抗生物質は使用していません。さらに政府機関などで抗生物質の残留検査もしているのです」とキエンさん。現地を視察して、生産者ごとに検査結果や生産履歴が適正に管理されていることを確かめることができました。

加工は生活クラブ専用の場所を用意

収穫後は氷詰めにして集荷場に集められます。品質確認や選別の後、ただちに加工から輸出を担う「シープリメスコ社」の施設に運ばれます。シープリメスコ社では、生活クラブの養殖エビを加工する際の専用スペースが用意されています。一般のエビの品温は10℃以下のところ、生活クラブは常に4℃以下にするよう、ふんだんに氷を使って加工されていることを確認しました。視察に参加した生活クラブ神奈川・副理事長の大久保明美さんは「収穫から1尾ずつの凍結までを24時間以内に行なうなど、鮮度を保つための管理が徹底していました。安心でおいしいエビを届けるために、おおぜいのベトナムのみなさんが努力していることがわかりました」と現地の生産体制を高く評価しました。

*写真左:他の製品が混ざらないよう、生活クラブ専用の作業スペースで加工しています。
*写真右:氷をふんだんに使い、4℃以下が保たれていることを温度計で頻繁に測ります。

生活クラブが共同購入している養殖エビは、ベトナム産のエビ、インドネシア産のエコシュリンプのどちらも、粗放養殖によるブラックタイガーです。

この養殖法は、稚エビを池に放つだけで、あとは自然の力にエビの成長を委ねます。市販品に多い大量生産の集約型養殖に比べて、安全性や自然環境への配慮にも特長があります。産地は違っても、どちらも安心して食べることができる生活クラブの消費材です。将来にわたって、おいしいエビの生産を持続てきるように、おおぜいの利用で支えていきます。

食べればわかる! 産地1回凍結だからおいしい!

収穫から4℃以下で管理し、製品化までの時間を極力短くすることで鮮度を保っています。産地で1尾ずつ凍らせて出荷され、組合員の手元に届くまで新鮮さはそのまま、一度も解凍されることはありません(産地1回凍結)。一方、広く市販されている輸入エビは、コスト削減のために数十尾のブロック凍結で輸入され、国内で解凍、再凍結して流通されることが一般的だそうです。その過程でエビの旨みが水分ともに減ってしまうことも考えられます。

★エビのおいしさを楽しむレシピ満載!
生活クラブ「ビオサポレシピ」エビのレシピ」一覧はこちら

ブラックタイガーは、高たんぱく低脂質でしっかりとした食感が特徴。ビタミンEが含まれることも重要です。ビタミンEは抗酸化作用や免疫力を高める働きがあることが知られています。脂溶性なので、フライや炒め物にすると体内への吸収率が高まります。エビフライが大好きな子どもたちから、カロリーが気になる大人まで、幅広い世代のみなさんにおすすめの食品です。

自然環境にやさしい養殖方法

市販のエビは人工的なエサや抗生物質を使用する集約型養殖によるものが多く、排水による水質汚染が問題になることがあります。また養殖池を作るためにマングローブの林が伐採されることもあるようです。一方、生活クラブのエビは、周囲にマングローブが生える自然環境を活かした養殖池で育ち、人工飼料や薬剤の使用に頼る必要がありません。生活クラブの養殖エビを食べることで集約型養殖の広がりを防ぐとともに、マングローブなど自然環境の保護にもつながり、未来にわたる持続的な生産を支えます。

*写真:ベトナムの養殖池の周囲に自生するマングローブ。マングローブは熱帯地域で海水と淡水が混じり合うところに生える植物の総称で、エビや魚などの住みかになるなど、生態系にとって大切な場所です。

不必要な抗生物質、食品添加物は使わない!

稚エビを養殖池に投入した後は抗生物質を使用していません。
また加工に際して食品添加物のp H 調整剤や酸化防止剤、調味料(アミノ酸など)は使っていません。それに対し、市販のエビでは、養殖時に抗生物質が使われることがあります。またプリプリした食感や旨みを補うため、あるいはエビが黒くなるのを防ぐために、調味料や食品添加物を使用した製品が一般的です。

生産者の顔がわかるから安心!

ベトナムの生産者は60人、インドネシアの生産者は約1,000人と、明確になっています。生産し加工し製造する人がすべて明らかなので、話し合いや交流もできて、消費材のさらなる改善や信頼関係を築くことができます。

*写真左:キエンさんの養殖池では、カニなどエビ以外の動物も共生しています。
*写真右:エコシュリンプを収穫するインドネシアの生産者。


 

 ベトナム  エビに適した自然環境がおいしさに

黒川 大輔 さん (株)ファーマーズ ユニオンベンチャー(FUV)

産地であるカマウ省の養殖池は、20年前までは田んぼでした。汽水域で水の塩分濃度が高いため、稲作は塩害に悩まされて貧しい地域でした。ところが、塩分が高いほうがブラックタイガーの粗放養殖に向いており、おいしいエビがとれます。カマウの人々はエビ養殖に切り替えることで徐々に豊かになり、いまや一大産地になりました。ですからエビを輸入しても現地の人の食べものを奪うことにはなりませんし、むしろ生産者の暮らしの向上に結びついています。

加工をするシープリメスコ社には、安全性を高める、情報公開する、提携関係を築くなど、生活クラブの考え方を反映した製造を要請しました。それに対し生活クラブ専用の加工方法の考案や温度管理の徹底などによって、鮮度のよいエビをつくることで見事に応えてくれました。

エビ生産者は「環境がブラックタイガーを育ててくれる。だから環境を守っていつまでも獲り続けたい」と語っています。しかし最近は、環境よりも効率を重視した集約型養殖が広がり始めています。意識して粗放養殖したブラックタイガーを選んで食べていかないと、マングローブを伐採して養殖池をつくる集約型養殖が増える恐れがあります。私はカマウ省のエビ生産者とともに、持続可能な社会の実現に向けてこれからも活動していきたいと考えています。

ベトナムから届くまで

 インドネシア  エコシュリンプを食べ続けることで守れた環境

若井 俊宏 さん (株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)

インドネシアで粗放養殖されたブラックタイガーをエコシュリンプとして開発したのは1992年です。当時の日本は世界一のエビ消費国で、東南アジアでは日本向けのエビをつくるために、マングローブを伐採して集約型養殖が行なわれていました。集約型養殖では抗生物質が使われるのが一般的で、食品への残留が懸念されていました。しかしこのような問題は、日本の多くの消費者には知らされないまま食べられているのが実態でした。

オルター・トレード・ジャパン(ATJ)では、産地の環境に負荷をかけず安心して食べられるエビを探し、インドネシアで粗放養殖している生産者と出会ったのです。

ATJでは産地とのかかわりを強めるために、2000年に現地法人のオルター・トレード・インドネシア(ATINA)社を設立。2005年には直営の加工工場を立ち上げて、生産者から加工・輸出、輸入まで一貫した体制をATJとして整備しました。現在、指定生産者は約1,000人です。インドネシアでは宅地開発が進んでいますが、エコシュリンプを食べ続けることで産地のマングローブを守ることができていると思います。

これからは養殖池の上流域をふくめた環境を、次世代につなぐためにインドネシアの人々と活動できればと考えています。

インドネシアから届くまで

※「有頭エコシュリンプ」をはじめ他にも種類があります。

ベトナム産ブラックペッパーの生産者とも交流しました

今回の視察では、エビの開発のきっかけにもなったベトナム産ブラックペッパーの産地であるダグラック省バンメトートにも向かい、胡椒の農場を視察し、生産者と交流しました。

*写真:ベトナム産 ブラックペッパー(あらびき)

農園から食卓までが明らかな生活クラブの胡椒
 

生活クラブは2014年からベトナム産ブラックペッパーを共同購入しています。生産者は指定農家のほか、「エアカトゥー社」( 生産者代理人)の中で特に信頼度の高い農家4~5人です。

組合員はエアカトゥー社を訪れ、社長のタオさんから「昨年から化学肥料の使用をやめ、魚粉などを原料とした有機肥料を使うようにしました」と聞きました。

胡椒の収穫は2月から3月で、3メートル以上ある木に脚立を立てて房状になった実を摘みます。農家のラックさんは「収穫期以外は剪定して日が当たるようにしたり、肥料や水をまくなど、いろいろ仕事があります」と話します。ラックさんは500羽の鶏を畑に離し、鶏糞を肥料に活用していました。

一般的にスパイスは誰がどこでどのように生産しているかの流れを追うのが、非常にむずかしい食品です。その中で生活クラブのベトナム産ブラックペッパーは農園から食卓までが明らかです。視察した組合員は生産者までさかのぼってわかるベトナム産ブラックペッパーの価値を、再確認しました。

*写真左:胡椒の実について説明を受ける組合員。左から農家のラックさん、エアカトゥー社のタオさん。

*写真右:3m以上に伸びた胡椒の畑で。組合員やFUV、胡椒生産者のみなさん。胡椒は房状に実を付けます。

ベトナム産ブラックペッパーが届くまで

みんなでベトナム産の粗放養殖ブラックタイガーと、ブラックペッパーを利用しましょう

品質のよさは現地の人と向き合った成果

生活クラブ神奈川副理事長 大久保明美さん

ベトナムはたいへん暑く、働くにはきびしい環境だと想像できます。そのような中でエビの収穫から製造まで、徹底した品質、温度管理ができているのは生産者の現地法人であるFUVの黒川大輔さんらがエビ生産者たちと向き合い、話し合いを重ねて築き上げてきたからだと思います。

ベトナム産粗放養殖ブラックタイガーを利用することは、生産者の暮らしや環境を守ることになると確認できました。おおぜいの組合員で利用していきましょう。

*写真:シープリメスコ社のニャン工場長(右)と懇談する大久保さん

顔が見える関係が消費材をつくる土台に

多摩南生活クラブ副理事長 落合由美さん

ベトナム産粗放養殖ブラックタイガーでも、ブラックペッパーでもFUVなどの努力で、生産者と顔の見える関係が築けていることが確認できました。この関係は生活クラブの消費材を作るうえで非常に重要で、今後も双方で話し合ってさらに改良する土台になると思います。これからも組合員が現地を訪れて視察したり、ベトナムの生産者が来日して多くの組合員と交流できれば、消費材を取り組む意義が深まると思います。

*写真:生産者代理人のキエンさんと握手を交わす落合さん


生活クラブは生産者と連携して、食べものの国内自給力を高めることをめざしています。しかしエビや胡椒など日本でまかなえない食べものは輸入しています。その際は現地の環境破壊を引き起こしたり、食べものを奪うような輸入ではなく、海を越えて顔を見える関係を築き、生産者と私たちお互いが豊かになる提携をめざします。

*写真:ブラックタイガーはクルマエビ科のエビの一種、おいしさに定評があります。

《『生活クラブOPINION』 2017年11月4回号の記事を転載しました》

【2018年1月25日掲載】

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