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遺伝子組み換えイネの試験栽培とジャガイモの販売に抗議します 生活クラブ連合会がパブリックコメントを提

生活クラブ生協は、日本人はじめアジアの多くの人々の主食であるコメについて、特に遺伝子組み換えをすべきではないと考えています。しかし、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構は、茨城県つくば市にあるほ場でゲノム編集技術を使った遺伝子組み換えイネの栽培試験を行なうため、国に承認を申請し、3月29日までパブリックコメントが募集されました。ゲノム編集技術を使った作物の試験栽培承認申請は、これが初めてです。


また、食品安全委員会は、高温で加熱してもアクリルアミドの生じる量が少なく、打撃によって生じる黒斑が少ない遺伝子組み換えジャガイモについて「ヒトの健康を損なうおそれはない」という報告書をまとめ、4月13日までパブリックコメントを募集しました。


生活クラブ連合会は、将来にわたって環境や人体にどのような影響を及ぼすか不透明な、遺伝子組み換え作物の開発と販売に抗議し、国に意見を提出しました。

生活クラブ連合会が提出した意見書は以下の通りです。


遺伝子組換えイネの試験栽培承認についての意見

(1)交雑性について

・意見内容:野生生物との交雑性だけでなく、栽培種との交雑性についても評価すべきです。

・理由:申請書では、「交雑性に関して影響を受ける可能性のある野生植物は特定されなかった」とされ、実際には他のイネとの交雑性については全く調べられていません。今回承認申請が出されている二品目は、ゲノム編集技術を使ったイネとしては初めての承認申請です。これまで以上に慎重に、他の生物と交雑する可能性について、きちんと調べるべきと考えます。従来の遺伝子組み換えイネについてもそうでしたが、ゲノム編集技術を使ったイネについても、影響を受ける可能性のある野生植物はないと交雑性を否定されるのは、とても問題です。農作物との交雑性についても評価の対象としてください。
また、隔離ほ場周辺1.5kmの範囲に一般の水田が複数あります。花粉の飛散がないかについて、実証試験を行なうべきです。

(2)オフターゲット作用について

・意見内容:標的以外の場所が切断されていないか、徹底的に検証するべきです。

・理由:申請書ではオフターゲットについて、「オフターゲットの候補として挙げられた配列は存在するものの、それらの配列のうちオフターゲットスコアが1.0を超えるものは、構造遺伝子のアミノ酸配列に影響をおよぼさないインタージェニック領域やイントロン配列上に変異挿入をもたらす領域であることを確認」したと書かれています。標的以外の部分が切断されたとしても、アミノ酸配列に影響がなかったり、イントロン配列上であれば、問題がないと言いきれるのでしょうか。ゲノム編集技術においては、標的以外の部分のDNAが切断されて重要な遺伝子の働きが壊れてしまうと、アレルギー物質がつくられたり、がんが発生するのではという懸念が聞かれます。標的以外のどの部分がどのくらいの確率で切断されるのか、検証が必要です。

(3)承認プロセスについて

・意見内容:ゲノム編集を使って作られた生物については、カルタヘナ法にもとづく承認プロセスを今後も必ず課すべきです。

・理由:ゲノム編集技術については、諸外国において、規制のあり方がいまも議論されており、遺伝子組み換え技術と同様の規制は必要ないとする意見も聞かれます。日本政府においては、ゲノム編集を使用した作物の栽培について、今後もカルタヘナ法にもとづく承認プロセスを確実にとっていくべきと考えます。また、他の動植物への影響がこれまで以上に複雑かつ重大となることに鑑み、農作物への影響評価を義務付けるようカルタヘナ法を改正することを求めます。

(4)複雑な働きを持つ遺伝子への介入について

・意見内容:予防原則に則って、ゲノム編集イネの栽培を承認すべきでないと考えます。

・理由:遺伝子の働きも細胞の働きも複雑です。従来の遺伝子組み換えとゲノム編集技術を組み合わせて、その複雑な仕組みに介入する以上は、正確な評価が必要です。それにもかかわらず、交雑性、オフターゲット作用についてきちんと検証されていないのは上に書いたとおりで、「競合における優位性」「有害物質の産生性」についても、「影響を受ける可能性のある野生動植物等は特定されない」ときちんと調べられていません。農作物や人への影響も含め、カルタヘナ議定書の考え方にもとづく幅広い評価が行なわれるまでは、予防原則に則って、今回申請されている二品目のシンク能改変イネの栽培は承認すべきでないと考えます。


遺伝子組み換えジャガイモの食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見

(1)この遺伝子組み換えジャガイモには、アスパラギン合成酵素-1遺伝子断片、デンプン関連R1タンパク質遺伝子プロモーター領域断片およびホスホリラーゼ-L遺伝子プロモーター領域断片が導入されており、ジーンサイレンシングが誘導されることによってこれらの内在性遺伝子の発現が抑制され、高温加熱加工時におけるアクリルアミド生成量が低減するとされています。打撲による黒斑形成の低減についても、ジーンサイレンシングが誘導されることによってジャガイモを茶色にするポリフェノール酸化酵素遺伝子の発現が抑制されています。

このジャガイモで発現が抑制されているアスパラギン合成酵素遺伝子やポリフェノール酸化酵素遺伝子の役割については、解明されていない部分が多く、植物を病原体から守る働きをしているのではないかという説もあります。こういった遺伝子の働きを抑制することで、健康に将来どのような影響があるのか分かりません。遺伝子発現を抑制するRNA干渉技術を使った遺伝子サイレンシングについては、標的以外の遺伝子(オフターゲット遺伝子)の働きが抑制されることによる影響も懸念されており、米国環境保護庁は2013年に発表した『農薬としてのRNA干渉技術に関する白書』の中で、「オフターゲット遺伝子の働きが抑制されることによる影響を評価するのには、現在の検査体制では不十分」と結論づけています。このジャガイモは、アクリルアミド低減という目的のために、未知の健康リスクをもたらすことになると考えます。

また、アクリルアミドについて、アメリカがん協会は、野菜や果物を多む食生活がアクリルアミドのリスクを避けるひとつの方法と推奨しています。アクリルアミドが低減しているからといってフライドポテトの消費を過度に促すようなことになれば、食生活総体から見れば健康リスクが高まることも考えられます。


(2)外食産業で利用された場合、遺伝子組み換え表示の義務がないため、消費者は遺伝子組み換えと気づかないままにこのジャガイモを食べてしまう可能性があります。情報公開が不十分では消費者が自らのリスクを管理することができないので、リスク管理上、不適切と考えます。消費者が予測不能なリスクにさらされることになります。消費者に対するていねいな広報や情報提供を求めます。


(3)申請者は、主要成分、ビタミン・ミネラル、アミノ酸組成などについて、従来のジャガイモと比較することで「統計的有意差はない」とし、これを以てヒトの健康を損なうおそれはないと判断しています。申請者の提出データのみに頼るのではなく、国による検証実験を求めます。

【2017年4月19日掲載】

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