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山と海が育む自然の風味【山彦鰹節】

志摩半島の東南端に位置する三重県志摩市大王町。山彦鰹節(やまひこかつおぶし)では、豊かな自然の恵みを生かし、和食の基礎を支える“うま味”を追求する。

希少な一貫生産を守って

丸のままのカツオから加工が始まる中高年の人であれば、棒状の堅いかつお節を削り器で苦労して削った覚えのある人も多いだろう。削りたての風味は、質素な時代の食卓を彩るささやかなぜいたくだった。

今、スーパーで「だし」と表示されたコーナーにあるのは、かつお節や昆布ではなく粉末の「だしの素(もと)」がほとんど。原材料は化学調味料、食塩、糖類などで、最後のほうに表示されたカツオエキスなどの文字とパッケージのイラストがかろうじて魚との関連を思わせる。

半世紀の間にかつお節をめぐる消費の風景は大きく変化した。とりわけ、流通・販売される商品の大半が、カツオ半身の形を残す本節ではなく、削って袋詰めした削り節パックに移行したことは、産地に大きな影響を与えた。
削り加工には専門の技術と大規模な設備が必要とされる。節づくりとの両立は無理といわれ、大手メーカーだけが参入できた。ちょうどそのころ、オイルショックや200カイリの漁場規制が重なり原料魚価格が高騰、節づくりだけでは経営が成り立たず、かつて全国にあったかつお節業者の多くが廃業していったという。

山彦鰹節代表取締役の山下勝日己さん
現在、かつお節生産の98%以上は、鹿児島県と静岡県の3地域に集約され、節づくりから削り加工までを一貫して自社で行う業者はほとんどいない。生活クラブの「かつお細けずり」などを生産する山彦鰹節は、3大産地以外で節づくりを続け、削り加工も自社で行う全国でも珍しい存在だ。
代表取締役の山下勝日己(かつひこ)さんは「ふりかけブームをきっかけに少しずつ削りの技術を習得し始めたころにちょうど生活クラブとの提携が始まり、一貫生産の価値に気付かされました」と当時を振り返る。

大手メーカーとの提携では、価格を抑えるために効率優先の節づくりになりかねず、削りの工程でも納得いく味が保てる保証はない。一貫生産だからこそ、なまり節からパックだしまで多くのアイテムを製品化でき、ロスを抑え経営の安定にもつながった。「丸のままの魚から自分の手で加工したかつお節を削り節にして届けられるのが何よりうれしい。削った状態で火入れの強弱の確認もでき、最終製品に責任が持てます」

まき100%がつくる風味

加工場近くに保管されるまき。一列20トンのものが30列並ぶ「かつお節は味と風味がすべて」と山下さん。決め手はボイルと水分を抜く「焙乾(ばいかん)」の工程だ。
かつお節の製造は、解凍し半身にしたカツオをボイルするところから始まる。身割れを防ぐためボイル時の温度は90度で止めるのが一般的。しかしそれでは十分なうま味がでないため、山彦では沸騰寸前まで温度を上げる。温度管理に神経を使って、身割れを防ぎうま味を引き出すギリギリの調整を行う。経験と勘が頼りの熟練の技だ。

ボイル後は、熱と煙で水分を抜く焙乾の工程に入る。市販品のほとんどは灯油かガスによる機械乾燥だが山彦ではまきだけを使う。1日2トンのまきをたき、30分に1回カツオに触り火力を調整する。1日の終わりには火を落としむらなく火が通るようかごの天地前後を入れ替える。これを15日間くり返しようやくカビ付け前の「荒節」が完成する。
市販品にも「まきで焙乾」をアピールするものはあるが、多くは香り付けに、工程の最初と最後にまきを使う程度だ。見る人が見れば、色の付き方が違うため明らかにわかるという。
「かつお節の味、風味をまき以外で出そうと思っても無理。食べ比べてみればわかります。今後もまき以外は一切使いません」

似て非なる“カツオエキス”

カビ付けした本節は2週間ずつ3回にわたってカビ付けし、余分に脂をカビが分解し上品なうま味に変える今、かつお節製造業者や削り加工業者が集まる産地には、カツオの煮汁や削りくずを求める業者が頻繁に訪れるという。だしの素からスナック菓子まで幅広く使われるカツオエキスなどの原料とするためだ。

近年は化学調味料の使用を前面に出すのを避け、カツオエキスやかつお粉などを含むことを強調する商品が多くなった。しかし、廃棄するようなくず原料では十分なうま味は出ず、煮汁でうま味を出すのは難しい。結局は化学調味料とセットで使われるのが一般的だ。削りくずや煮汁はうま味の不足する削り節の風味付けなどに使われることもあるという。
「資源の有効利用はいいのですが、かつお節を使ったというイメージアップに利用されるのはどうでしょうか」と山下さんは疑問を呈す。「アミノ酸は数種類あるもののバランスが大事で、単体で摂取する化学調味料が健康にいいとは思えません。何より素材の味がわからなくなります」
カビ付けも含めると全工程1カ月半から2ヵ月に及ぶ時間と手間をかけてうま味を熟成させるかつお節。化学調味料を主体にしたカツオエキスとはまったくの別物と力説する。

自然の恵みの中で

加工場近くには青い海を背景に大王崎灯台があるかつお節の原料となるカツオは、赤道付近から北太平洋で漁獲し静岡県や三重県の港に水揚げされるものを使うが、近年急速に漁獲量が減り価格も高騰している。「カツオは繁殖力のある魚なので枯渇はしないでしょうが、漁獲制限など保護は必要でしょうね」と山下さんは漁業の将来にも思いをめぐらす。

焙乾に使うまきは、県内の近隣の山から業者が切り出してきたものを原木で仕人れる。まきの形に整え乾燥させる作業は自前、かつお節づくりの一環として行う。
カツオの内臓など、あらは工場の屋上で干すとよい肥料になる。これらは生活クラブのお茶の生産者「新生わたらい茶」など近隣農家に納品されるが、その効果を確認するため、山下さん自らも畑で野菜をつくる。「仕事の合間には海に潜って貝や海藻もとります。漁も農業も木こりもやるんですよ」と山下さんは笑う。漁業、林業、農業と自然を相手とする第1次産業の循環の中で生まれる山彦のかつお節。だからこそ料理素材と調和し、その良さを引き出す絶妙の風味が楽しめる。化学調味料には出せないうま味だ。


もっと暮らしにかつお節


【ぜいたくなパックだし】

「市販のだしパックには削りクズなどをまぜることも多いようですが、生活クラブの『パックだし』には本物の荒節を砕いて入れます」と山彦鰹節代表取締役の山下勝日己さんは言う。「オーエスケー」の「乾(ほし)しいたけ」、「みついし昆布」の昆布も使い、実にぜいたくだ。当初、山下さんはこの開発には反対だった。「いかに山彦でも中身が見えなければへんなものを使うのではと疑われるのがいやでね」と当時を振り返る。それでも要望の声はやまず、5、6年後ようやく本腰をあげた。開発に参加したのは北東京生活クラブ。使用量や使い方のポイントまで生産者以上の熱意をもって組合員に浸透させたことを山下さんは今でも覚えている。結果、予想を超える利用量が集まり、ラインを増設するまで残業の日々が続いたという。ただ、「かつお厚けずり」や「混合けずり節」よりも「パックだし」が便利という考えには山下さんは疑問を持つ。これを使ってだしをとるのにも水につける時間と煮出す手間が必要。だとすれば厚けずりなどを使っても「手間に大差はないのでは」と山下さんは問いかける。
 
【荒節と枯れ節 それぞれの良さを味わう】

カツオをボイルし熱と煙で乾燥させたものが荒節、その表面を削りカビをつけながら仕上げたものが枯れ節だ。カビ付けすることでカビが余分な脂を分解し上品でまろやかなうま味へと変える。一方、魚の存在感を残したものが荒節で、好みもあるが一般には澄まし汁などは枯れ節、めんつゆなどは荒節が向くといわれる。市販の削り節は荒節を削ったものが多く、手間と時間がかかる枯れ節は年々減少している。生活クラブの「かつお細けずり」は枯れ節を削ったもの、ぜひ食べ比べて味を確認してほしい。

山下知恵子さん【かつお節を使って】

山下勝日己さんの妻、知恵子さんは伊勢志摩の郷土料理、手こねずしづくりの名人。かつお節を使った簡単な料理を聞いた。

●めかぶの吸い物
わんに解凍した「きざみめかぶ」1パックと「かつお細けずり」を適宜入れ、お湯またはだし汁を注ぎ、好みでしょうゆを落とす。

●和風サラダ
野菜適宜と豆腐を器に盛る。「かつお細けずり」をたっぷりかけて特製ドレッシングで。
ドレッシング(しょうゆ、酢、すりごま、ごま油各大さじ2、砂糖大さじ1、おろしにんにく小さじ1)は砂糖と酢を最初にまぜ、ごま油は最後にまぜるのがコツ。

●めんつゆにも煮物にも 大活躍の万能だし
丸大豆醤油…1L、みりん風醸造調味料…500ml、混合けずり節…1/3袋、みついし昆布…3本(長さ各20cm)、乾しいたけ…5~6枚
  1. 鍋に材料を全部入れて一晩おく。
  2. 弱火にかけ煮立ってから5~6分で火をとめ冷ます。
  3. ふきんなどで2をこす。
  4. びんなどの容器に移せば常温で1ヵ月保存可能。

『生活と自治』2013年8月号の記事を転載しました。

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