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生活クラブの先駆的な試みが、日本の「自給力」を後押し

生活クラブの提携生産者の平田牧場、JА庄内みどり遊佐支店と、遊佐町、山形大学、そして生活クラブ連合会などが連携して取り組んでいる「飼料用米プロジェクト」(07年度からは「食料自給率向上モデル飼料用米事業推進会議」に名称変更)。畜産用の餌として米を作付けする実践に農林水産省も着目、2008年度から、飼料用米など低コスト生産技術に取り組む生産者に助成金を支払うことを決めました。

農林水産省の検討会で新田嘉七社長(平田牧場)が熱弁!

平田牧場の新田嘉七社長

「現在の農業政策が明確ではないように思います。例えば食糧自給率を5%アップといいながら、そこに向けた具体的な政策の立案力と実行力が欠けているのではないでしょうか。政府にそれが無い状況の中で、私たち生産者と消費者が具体的なモデルを示すために取り組んできたのが『飼料用米プロジェクト』です」 。

昨年12月14日、農林水産省総合食料局長の私的諮問機関「『販売』を軸とした米システムのあり方に関する検討会」の場で、参考人として出席した平田牧場の新田嘉七社長は、2004年からスタートした「飼料用米プロジェクト」の意義をそう強調しました。

新田社長はまた、飼料用米プロジェクトは食糧自給率を飛躍的に上昇させるモデルだけではなく、社会の宝である子どもたちに、しっかりと維持管理された国土を渡せ世界に誇れる日本古来の水田文化を守れること。そこから収穫できる米を家畜に与えることで遺伝子操作のない安心、安全、高品質な畜肉が生産でき、平成5年のような大凶作時にも米が不足しないこと、さらには、家畜生産の排泄物から作られる質の高い堆肥を土地に戻すことで土地を肥沃にでき、疲弊している農村に活力を与え、環境破壊、人口爆発による食糧の奪い合いに備えた食糧の安全保障を図ることができることを指摘しました。

検討会は、米政策改革のその後を議論するために設置されたもので、米システム・水田農業の将来をどう考えるか、生産コストを下げるにはどうしたらいいかなど7点を検討事項に挙げています。

「自給率向上のモデルを作る」との強い意志が

飼料用米の餌

平田牧場がある山形県庄内地方で飼料用米の生産が始まったのは1996年。飼料を輸入に依存していては自給率の向上に繋がらないなどとして、庄内地方で転作助成金を活用して飼料用米生産に取り組む生産者が増え、99年には約400戸の農家が220haを作付け、1,000tを越える生産量にまで拡大しました。

ところがその後、助成金が減額されたことで作付け面積は激減、先行きを不安視する声もありました。転機が訪れたのは2004年。生活クラブの米の提携産地でもある遊佐町が「食糧自給率向上特区」に認定されたことでした。これを契機に、平田牧場、遊佐町、JA庄内みどり遊佐支店、生活クラブ連合会などによる「飼料用米プロジェクト」がスタートし、作付け面積は増加に転じました。

07年度は230人の農家がプロジェクトに参加、面積は130haに拡大し生産量も690tに上っています。作付け面積は全国の約50%を占めているほどです。08年度は面積をさらに拡大、150haの作付けを予定しています。また、となりの酒田市も4haから120haへと大幅に拡大する予定で、収穫された飼料用米は平田牧場が買い取ります。

この飼料用米が平田牧場の養豚に利用されています。養豚は生後、「授乳期」「育成期」「肥育前期」「肥育後期」という段階を経ますが、飼料を最も必要とする肥育後期に、輸入トウモロコシに代えて、全飼料の10%相当量を飼料用米にしています。この飼料で育てられた豚は「こめ育ち豚」と名付けられ、06年から生活クラブが取り組み、平田牧場の直営店などでも販売されています。

飼料用米の生産が普及するためには課題もあります。現在、飼料用米価格は食用米の5分の1程度で、生産者が利益を見込めないことです。新田社長は検討会の席上でそのことを訴え、「再生産可能な価格体系を構築する必要がある」と指摘しました。また、収穫量にバラツキが大きいことも課題に上げられています。07年産の場合、平均反収は530㎏ですが、最高930㎏に対してコストダウンのために実施している直播は295㎏と低く、政策支援と同時に技術向上の必要性も指摘されています。こうした課題を抱えつつも、飼料用米プロジェクトが実績を積み重ねてきたのは、生活クラブとの30年以上にわたる提携の歴史を背景に「自給率向上のモデルをつくる」という生産者の強い意志があったからです。

農林水産省が飼料用米に新たな助成金

こうした中、農林水産省は昨年末、米政策における緊急対策の実施を発表しました。余剰米対策の一環として08年度から3年間、飼料用米の生産に取り組んだ生産者に10aあたり5万円を助成するというものです。多収品種や直播栽培、二期作などの低生産コスト生産技術の確立試験に3年間取り組み、その結果を地域協議会に報告します。一部の地域にとどまっていた飼料用米の栽培が全国に広がることになります。

農林水産省は実験モデルで、田植えをせずに直播でコスト削減を図り、収量の高い品種を作付けし、10a当たりの収量を17俵へ倍増させれば、5万円で赤字は出ないとはじき出しています。計算通りにいくのかとの声もありますが、国内自給力向上につながる可能性があるという意味においては一歩前進したといえるでしょう。この他、JAグループも、飼料用米生産拡大に全力で取り組む姿勢を明らかにしています。また3月上旬、農林水産省は、飼料用米の流通・保管に経費がかかることから、新たな助成金などで支援策を拡充することを公表しました。

日本の食料自給率は39%、穀物自給率にいたっては27%しかありません。国内の減反田約100万haを耕作すれば穀物自給率が20%アップすることを示すモデルとなる「飼料用米プロジェクト」の実践。その先駆的な試みが国を動かしたとも言えます。

【2008年3月12日掲載】

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