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「味付のり」類の自主基準違反についての報告

本件は3月11日、提携生産者より「味付のりから防カビ剤チアベンダゾール*(以下、TBZ)が2ppm検出」との報告が入ったことから始まりました。
 健康危害を及ぼすレベルではないものの、生活クラブ「自主基準」違反として直ちに以降の取組み中止や、連合会ホームページに情報を掲載しました。また、賞味期限が残る該当消費材の利用者対象に家庭内在庫廃棄のお願い、5月返金処理等をお知らせしてきました。この件は、生活クラブ提携生産者に限られた事例ではなく、製造機械の仕組みに基づくものであり、一般市販品でも共通の汚染が確認されました。
 現在、一連の対応が完了しましたので、全容について全組合員の皆様に改めて報告します。

他生協で発覚

味付け工程

 関西の「生協連合会きらり」(以下、“きらり”)では組合員から、07年11月の新規品「味付のり」類が「苦い」とのクレームが寄せられ、調査に入りました。調査過程の中で、08年3月5日、「のり」や「味付タレ」に問題はなく、製造ラインのスポンジロールそのものにTBZが添加され、味付のり類にTBZが移染したことが判明しました。右図のように、スポンジロールにタレを染み込ませ、ロールの間に焼きのりを通して味付けする工程で移染したものです。スポンジロールの規格仕様(TBZ添加)は「味付けのり」の製造者には知らされていませんでした。
 “きらり”は3月6日、自主回収を決定し、ホームページに掲示しました。また、同様の工程を持つみえぎょれん販売(株)「味付のり」(消費材と同等品)について検査したところ2ppm検出され、判明した3月11日同社に報告しました。

生活クラブ連合会の初期対応

 生活クラブ連合会では3月11日にみえぎょれん販売(株)から、翌12日に“きらり”から、当該のスポンジロールが国内の「味付のり」製造メーカーに広く普及しているとの情報を入手し、千葉県漁業協同組合連合会(以下、千葉県漁連)のギフトセットにある「味付けのり」類の製造工程を確認したところ、ほぼ同様の部品が使用されていることがわかりました。直ちに、千葉県漁連産品も対象に取組み中止と利用組合員対象への廃棄のお願い、ホームページ掲載措置をとりました。
  生産者が使用し添加するものでないことは明らかですが、当該消費材の原材料規格になく、また生活クラブ自主基準における「使用禁止の食品添加物TBZの混入」をもって自主基準違反と判定しました。千葉県漁連の品目についてこの時点では、予防原則を適用しました。対象消費材は下記のとおりです。

■通常取組品
  • みえぎょれん販売:班・戸配取組み「味付のり」(8枚切×5枚×30袋)、福祉クラブ、デポー取組み「味付のり」(8枚切×5枚×10袋)、デポー取組み「味付もみのり」(50g)
  • 千葉県漁連:デポー取組み「サラダのりスタンドパック」(8枚切64枚)
■07年夏・冬ギフト取組品
  • 千葉県漁連:「のりバラエティー詰め合わせ」の内の「おかず味のり」(8枚切×8枚×8袋×2袋)、「サラダのり」(8枚切×8枚×4袋×2袋)

消費材の検査結果と最終対応

 みえぎょれん販売(株)の検査結果から、賞味期限内にある「味付けのり」類の内、TBZが検出される期間は08年度に限定されていることがわかりました。この原因は、08年1月4日にスポンジロールを交換したことにあり、交換後から移染が始まり、徐々に減衰すると考えられます。昨年の交換は3月で、6月8日製造の「夏ギフト」(賞味期限1年)の検査結果は「痕跡量(0.01ppm未満)」でした。これ以降の、製造ラインを共有する「市販品」「冬ギフト」計4品目は「不検出」、年明けの2品目は3.3ppm、4ppmの「検出」でした。
 千葉県漁連の品目は、スポンジロールの交換頻度が高く(2ヶ月毎)、関連品目からは0.42ppm、0.99ppm検出されました。スポンジロール自体からは種類によって数ppmから数十ppmレベルでTBZが検出されていますので、移染の程度はそれに左右されることもわかりました。
  原材料の焼きのり、味付タレからはいずれも「不検出」でした。
  以上の結果から、構造的には取組み当初からのTBZ移染が考えられますが、生産者による意図的な自主基準違反でないこと、および健康危害に及ばないとの厚生労働省見解(後述)を受けて、生活クラブ連合会は、TBZが検出された賞味期限内の上記品目を対象として返金対応を行うこととしました。なお、上記みえぎょれん販売(株)「夏ギフト」検査結果「痕跡量(0.01ppm未満)」は、食品衛生法である「ポジティブリスト制**」の一律基準(農産物等に適用される最も厳しい基準値0.01ppm)未満であることから、これは返金の対象から除外しました。

市販品の検査結果から広範囲の使用が裏付けられました

  同種のスポンジロールの使用状況を検証するために、市販品6品目を検査した結果、全品から「検出」され、提携生産者のみならず、味付けのり業界での「広範囲の使用」が裏付けられました。
 参考:A社:0.01ppm B社:0.03ppm C社0.08ppm D社:0.19ppm E社:0.41ppm、F社:0.86ppm

行政の見解と対応

 今回の件では3保健所(堺保健所[“きらり”届出]、明石保健所[“きらり”提携生産者届出]、松阪保健所[みえぎょれん販売(株)届出])が関係しました。当初、ポジティブリスト制の一律基準が適用されるとの見解を示していました。3月12日、みえぎょれん販売(株)は、同制度に基づく自主回収に向けた協議を松阪保健所と開始しました。
  しかし相前後して、厚生労働省→兵庫県庁→明石保健所ルートで、”きらり”提携生産者に電話があり、「原料に添加された農薬ではなく、製造工程中の問題であることから、有毒有害物質が付着した場合に相当する食品衛生法第6条等の適用となり、今回の事例では健康危害に及ばないので届出義務を有する自主回収の必要なし」との見解が示されました。これを受けて、みえぎょれん販売(株)は自主回収を撤回し、松阪保健所に対する状況報告に変更しました。
 結果的に、行政はこの食品汚染について、消費者は無論のこと国内製造者にさえ周知することなく、(“きらり”や生活クラブ連合会ホームページで)いち早く情報を察知したと思われる製造業界の水面下での、TBZ無添加スポンジロールへの切り替えの動きに解決をもっぱら委ねています。製造資材のスポンジロール製造者についても、「ベルトコンベアを支えるローラーであって、食品製造資材での使用は想定外」との説明に違法性は問わない模様です。
  一方、千葉県漁連では以前、食品衛生法に準じたスポンジロールの検査(鉛・カドミウムの材質試験、7物質の溶出試験)を行ない、その適正を確認していました。しかし、その検査の必要項目としてTBZは含まれていません。つまり、食品に触れる製造機器・資材について、食品衛生法で規定された検査項目以外の有害物質が食品に移染しても、健康危害に及ばない限りは違法性を問えないうえに、その事実は消費者に開示されないということになります。
  「食の安全確保」と鳴り物入りで登場したポジティブリスト制は食品原材料を対象とするもので、こうした製造資材の前では無力という外ありません。

生活クラブ連合会の今後の対策

  1. 有害物質の含まれないスポンジロールを導入します。
     生産者に応えるためにも、「味付けのり」類の取組み再開時には情報での利用促進を図ります。
  2. 食品に直接触れる製造工程資材の点検を行います。
     従来から、加工食品「自主基準」では、食品に直接触れる製造工程資材を明らかにすることを求めていますが、これは主に工程中の環境ホルモン対策の視点から、塩化ビニール系資材の有無を問題にしてきました。また、加工食品生産者には製造資材のリスト化を求めてきましたが、これは、異物混入事故防止の観点からでした。
      今回の事態は製造工程資材に含まれている添加物まで確認することが必要となりました。非常に困難な作業と予想されますが、食品に直接触れる資材の点検と対策を生産者とともに実行していきます。
*チアベンダゾール(TBZ)
  • 慢性一般毒性は、連続して一生涯摂取しても障害が起こらないADI(一日あたり許容摂取量)で0.3mg/体重1kgとされている。体重50kgの人で15mg=0.015g。今回のTBZ最大検出量4ppm=0.0004%混入している味付けのり一袋(約2.2g)からの摂取量は0.0088mg。ADIのレベルは一日1,700袋(3.74kg)食べることに相当。
  • 主に輸入柑橘類等に防カビの目的で使用されることが一般的な食品添加物。食品衛生法(ポジティブリスト制)での残留基準はバナナで3ppm、レモンでは10ppm。
**ポジティブリスト制
  • 2006年5月から施行の「ポジティブリスト制」は、国内外で使用されるほぼ全ての農薬の規制値を定め、この値を超える農薬が残留する食品は流通が禁止されるというもの。規制対象は農薬のみならず、飼料添加物、動物用医薬品に及ぶ。

(08.04.21記)

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