ビオサポだより お弁当などに「健康マーク」がつくようですが…

第43回

お弁当などに「健康マーク」が
つくようですが…


これが「健康な食事」の認証マーク!
*厚労省ホームページより

2014年10月7日に厚生労働省は『日本人の長寿を支える「健康な食事のありかた」に関する検討会報告書(案)』をホームページに掲載しました。基準を満たしたお弁当やお惣菜には「健康な食事を普及するためのマーク」をつけて販売、それを目安にすれば「健康な食事」が摂れますよ…というものです。
この「健康マーク」、生活クラブは「問題アリ」と考えています。
輸入原料や食品添加物を使った原料で作られたお弁当にはバッチリ「健康マーク」、でも、地元の野菜をふんだんに使ったまちのお惣菜屋さんの手作りお弁当にはついてない…そんなことになってしまいそう。牛乳や果物はこのマークの対象になっていなかったりするし…。
そこで、生活クラブ連合会は10月の理事会で、このことについて下記のような見解を出しました。

厚労省 日本人の長寿を支える「健康な食事のありかた」に関する検討会報告書(案)への見解

2014年10月7日、厚労省は『日本人の長寿を支える「健康な食事のありかた」に関する検討会報告書(案)』(以下検討会報告書案)をホームページに掲載しました。
『日本人の長寿を支える「健康な食事のありかた」に関する検討会』(以下本検討会)は、「健康寿命の延伸を実現することが必要になることから、この基盤となる「健康な食事」とはなにかを明らかにし、その目安を示すことで国民や社会の「健康な食事」の理解を深め、「健康な食事」に取り組みやすい環境の整備を図ることが一層求められる」として2013年6月に厚労省が設置したものです。

開催要領によれば検討内容は以下3点とされています。
1、日本人の長寿を支える「健康な食事」の概念の整理
2、「健康な食事」の意義や構成要素等の検討
3、「健康な食事」の目安の提示等

今回の検討会報告書案に掲載された諸政策は、国民の食事と健康に密接に関連しています。また、食品を共同購入する私たち生活協同組合や地域において安全性の高い「食」を提供するワーカーズや事業者、運動団体の事業への影響が懸念されるものです。

生活クラブ連合会は検討会報告書への見解を以下としてまとめます。

1、『健康な食』を実現するもっとも重要な課題は、食品の安全性の確保です。
検討会報告書案では「「健康な食事」とは何か、その概念や意義については(中略)「健康な食事」を構成している様々な要因を視野に入れつつ、「健康な食事」のとらえ方として整理することとした」とし、「健康な食事」の概念を以下のように述べています。

日本人の長寿を支える「健康な食事」のとらえ方
「健康な食事」とは、健康な心身の維持・増進に必要とされる栄養バランスを基本とする食生活が、無理なく持続している状態を意味する。
「健康な食事」の実現のためには、日本の食文化の良さを引き継ぐとともに、おいしさや楽しみを伴っていることが大切である。おいしさや楽しみは、食材や調理の工夫、食嗜好や食事観形成、食の場面の選択など、幅広い要素から構成される。
「健康な食事」が広く社会に定着するためには、信頼できる情報のもとで、国民が適切な食物に日常的にアクセスすることが可能な社会的・経済的・文化的な条件が整っていなければならない。
社会全体での「健康な食事」は、地域の特性を生かした食料の安定供給の確保や食生活に関する教育・体験活動などの取組と、国民一人一人の日々の実践とが相乗的に作用することで実現し、食をめぐる地域力の維持・向上とともに、国民の健康とQOLの維持・向上に貢献する。」

この見解では、社会的な視点から「地域の特性を生かした食料の安定供給の確保や食生活に関する教育・体験活動などの取組」の重要性を述べており、食を中心にした地域の人々の繋がりが「健康な食事」を実現するための要素のひとつとして捉えられています。また、検討会報告書案の各章においては食育の視点、日本人の伝統的な食文化や調理技術および旬の食べ物の再評価の視点等が記載されており、これらは評価すべき点です。
しかしながら、一方で、「健康な食事」の実現に際し本質的に求められるべき食品の安全性に関する言及が一切ないことは大きな問題です。検討会報告書案の『図26日本人の長寿を支える「健康な食事」を構成している要因例』の「食物へのアクセス」の中には、「安全・安心な食品」が掲載されており、食の安全性は情報アクセスとして把握されていますが、それだけでは不十分です。
食品添加物や遺伝子組み換え食品をできるだけ日々の食卓から排除していくこと、農薬や抗生物質、環境ホルモン等の化学物質や放射性物質が食品へ残留しないよう法令を整備し監視し続けていくこと、事故の相次ぐ不安な輸入食品への検査体制を拡充していくこと、これら食品の安全性追求の理念と取組こそを「健康な食事」実現の前提とすべきです。

2、「健康な食事」の食事パターンに関する基準と「健康な食事を普及するためのマーク」(以下マーク)の導入には問題があります。
(1)大手食品業界に有利なマーク導入となっています。

検討会報告書案の「はじめに」では、本検討の背景として平成26年に閣議決定された日本再興戦略としての「健康寿命延伸産業」の育成があげられています。これはいわゆる「アベノミックス」の3本の矢のうちの経済成長戦略として、健康産業を育成していくことを意味しています。今回のマーク導入に際しては、料理1(主食)・料理Ⅱ(主菜)・料理Ⅲ(副菜)のエネルギー量と食塩量がそれぞれ基準化されていますが、エネルギー量や食塩量を計算することは、地域の小規模なお弁当店や惣菜店には負荷が高いものです。また、マークの表示にあたっての留意事項として、「事業者は、基準に合致したレシピの作成など「健康な食事」に関する企画や運用にあたっては、管理栄養士などの関与により適切に実施できる体制を確保することと」とされています。管理栄養士等の配置を行い、基準に従ってマークをつけ、かつ国に報告するというハードルをクリアするのは大手事業者に限られることが実態と思われます。

(2)「健康な食事」とは1食あたりの食事の基準ではなく、日々の食事のあり方です。
 本来、食事から栄養素をバランスよく摂取するには、少なくとも1日の食事をどのように摂るのか、日々の食事のあり方を考えなければなりません。しかしながら、今回策定された基準は、1食あたりの食事の設定となっています。その結果、食事バランスガイドに掲載のある、毎日食べることが推奨されている果物や牛乳・乳製品は、1食単位では摂取量の扱いが難しく、除外されています。
1食あたりの食事にマークをつけること自体、食品を販売する大手事業者への便宜を図ったと思わざるを得ず、今回の基準は科学的な根拠は低いと考えます。
本来の「健康な食事」とは1食あたりの食事の基準ではなく、日々の食事のあり方です。

(3)安全性の高い食材を使用していてもマークはつけることができず問題です。
カロリーや食塩量等の一定の基準をクリアすればマークがつけられますが、一方で、カロリーや塩分計算ができない事業者は、国産原料や添加物無添加の原料を100%使っていてもマークを付けることができません。検討会報告書案本文で述べられていた、日本人の伝統的な食文化や調理技術および旬の食べ物の再評価等の視点も、なんらマークに反映されていません。「健康な食事」の具体的な基準として、食品の安全性の確保や国産原料の取り扱い等の反映が必要です。

3、生活クラブ連合会としてのマークの扱い
本検討会における「健康な食事」の考え方そのものに矛盾があり、生活クラブ連合会として、消費材にマークを支持することはできません。生活クラブ連合会においてはビオサポの考え方にそって、1日の食事の中で、生活クラブの消費材をバランスよく使いこなすことを前提とし、生活クラブ連合会の食と健康に関する政策(ビオサポ)を体現する消費材や献立、活動等に対してはビオサポロゴを積極的に使用していくことを再確認します。

以上

生活クラブの健康な食デザイン「ビオサポ」は「食べもの半分、食べ方半分」。
これからも、だれがどんな風に作っているのかちゃんと分かる生活クラブの食材を使って、からだもサイフも、環境や社会も健康にしよう!そんな提案をし続けていきたいと思います。

参考:厚生労働省
第11回日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000059925.html